フランスで「AIアクションサミット」が開かれ、各国政府の代表者やAI企業のトップや研究者など100カ国近くからおよそ1500人が参加した。
日本やEU、中国など60の国と機関が「AIの市場独占を防ぎ、安全で開かれたものにする国際協力の強化」「AIを利用する国々のデジタル格差を縮小」などの共同声明を出したものの、アメリカとイギリスは署名しなかった。
進化を続けるAIだが、紛争地ではどのように使われているのか? テロ・紛争解決スペシャリストの永井陽右氏に聞いた。
永井氏は「紛争地に限らないが、そもそもデバイス、スマートフォンやラップトップPCがなければAIは使えず、インターネット、電気などが当たり前になければまずアクセスができない。お金を持ってる人はさらに効率性が高くなってさらにいろんなことができるようになるが、高額なものを払えない人たちは相対的に格差が広がっていく」と述べた。
紛争地においてネットに接する人たちのリテラシーについても「まだまだ追いつかない」という。
「例えば、ディープフェイク的なものやAIを使った非常に巧妙なプロパガンダみたいなものを『これは怪しいな』というリテラシーは、とてもじゃないけど追いついていない。簡単に操られる方々はすごくいる。実害として、例えば西アフリカ、サヘル地域、マリ、ブルキナファソ、ニジェールなどの辺りではもう今ロシアと中国がかなり入っていて、フランスや欧米諸国、国連のミッションとかがどんどん追い出されている。市民側から『出ていけ。あいつらが悪だ。あいつらが全部我々を食い物にした』となっており、裏にはTikTokと買収されたインフルエンサーたち、あとは作られた謎の動画だとかデマ・陰謀みたいなもので世論が形成されている。国連などで『偽情報・フェイクに規制を』『もっと注意喚起を』というのは上流ではあるが、現場ではもう対処ができないし、いわゆる国際社会は負けっぱなしだ」
紛争地におけるAIの軍事利用は進んでいるのか?
「私がオックスフォード大学で所属している研究所は戦争研究だが、そこの今一番大きいトピックが『テクノロジーとAI』で、AIをどのような形で戦略的な施策に落とし込むかをみんなでやっている。例えば過激化リスクがある人をAIを使って自動的に検出して監視対象にしていく。最近イスラエルがガザで空爆のターゲットをAIを使って自動で攻撃しているが、“精度”がそんなに良くないことが問題だ。人間の命が関わるところには人間が関与することがマストだが、それがどうも最近揺らいでいきつつある」
「一方で、先ほどの“AI格差”にも繋がるが、武装勢力側はインターネットに上げた瞬間に全部情報を取られるので、ハイテクノロジーだとかAI的なものをなかなか使えない。なので、“非対称性”がさらに高くなっている。非対称性が高くなればなるほど、“テロ的なアタック”しか手段がなくなってくる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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