■2022年に当選 品川区長・森澤恭子氏の手腕
森澤氏は2002年に慶應大学法学部を卒業後、日本テレビに入社。その後、数社で勤務した後、長女を出産、夫の都合でシンガポールへ渡ると、帰国後の2016年に小池百合子都知事による政経塾「希望の塾」に入った。2017年には東京都議会議員になると、2019年に都民ファーストの会を離党。2022年に無所属で品川区長選に立候補し当選、現在に至る。「私自身が一度海外に出て、戻って来て0歳児と2歳児の子どもを育てながら再就職しようと思った時に、保育園が見つからなかったり、なかなか柔軟な働き方ができる仕事が見つからなかった。まだこういう社会なのは、政策決定や意思決定の場に、女性とか子育て世代の声が届いていないからかなと思って、議員になろうと思った」と、政治家になった経緯を述べた。
2022年12月、品川区長に当選してから2年余りという短期間ながら、次々と子育て政策を打ち出しているが、手応えはどうか。森澤氏は「実際、様々な区民のみなさんの声を聞きながらやっている。補助教材費の無償化、学費の無償化をやったり、給食費の無償化では保護者だけではなくて、お子さんからもわざわざ駆け寄ってきてくれて『ありがとうございます』と感謝の言葉をいただくのは、すごくやりがいを感じる」。
子育て世帯向けの政策については「日本が今、少子化でもあるし、子育てしづらいというのがある中で、できることから、地域の自治体からやっていくことで子育てを社会が応援しているということをメッセージも一緒に打ち出していきたい」と思いを語った。
これにはハヤカワ五味氏も「周りの友だちの話を聞いていても、どこで子どもを産みたいか、育てたいかと、自治体単位で見ている人がすごく多い。名前があがってくるのが港区、品川区、千代田区、文京区とかその辺り。明らかに目に見えていいのだろうなという感じがするし、安心感もある。そういった人が集まってくるからより環境が良くなっている」と評価。また元明石市長・泉房穂氏も「品川区長はピカイチだ。2022年の12月に当選されて2カ月、3カ月後には予算を組んで、医療費、保育料、給食の無償化を本当にやった。その後も続々とやっている。やはり結果を出しているなと思うし、もっと高く評価されて然るべき方」と語った。
スピード感については、森澤氏も意識していたところだ。森澤氏は「こうやっていきたいという思いを職員と共有をして、一緒に取り組んでいるというのはある。あとは、区民の幸福度とか、区民の幸せのために、何をすべきか。もともと民間出身だったということもあって、やはりスピード感とか時代とか区民ニーズの変化を捉えて、進めていくことが必要だという信念を持ってやっている」。これにも泉氏は自治体トップの経験者として同調。「市長、区長が本気になったらかなりのことができると思う。もちろん品川区が財政的な問題である意味ラッキーな点はあるが、もっとラッキーな所はいっぱいある。でもやっていない。それを踏まえてもしっかりやっていると思う」とした。
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