「スーパーパワーファミリー」とは?

野村総合研究所の野口幸司氏
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 野村総合研究所の野口幸司氏は「40代後半から50代ぐらいの層で、2018年から始まったNISAとか、その前からあった積立系の資産運用商品を運用し続けてきて直近になって株価が上がり、知らないうちにというか自分でも思っていなかったような資産が形成された層がそれなりにいる。年収が500~600万円とか700万円くらいの方で、コツコツと10年前、20年前から積み上げてきて資産形成につながったと考えている」と述べた。

 一般的な会社員が多いという「いつの間にか富裕層」の生活スタイルには、共通した特徴が見られる。

 野口幸司氏によると、「そんなに金融資産が積み上がっていない時代から普通の生活をしている人が多く、特に高額な耐久消費財や高級外車を買うわけではなく、今までと変わらない生活をしている方が非常に多いと見ている。さらに金融機関との関係性もそんなに変わっていない。金融資産が増えたからといって急に何か商品をまた増やすとか株を買うとかするわけではなく、今までと同じように定期預金もするし保険にも入るという形で暮らしている方が非常に多い」という。

 一方、もうひとつの層である「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住み、世帯年収が3000万円以上の共働き世帯である。

 野口幸司氏は、「30年くらい前にDINKs(ダブル・インカム・ノーキッズ)という言葉が出たが、スーパーパワーファミリーがDINKsのように子どもを持たない選択をするのではなく、子どももいる世帯でかつ世帯年収が3000万円以上あるフローリッチ(勤労収入が高い人)な方が増えている傾向にあると見ている」と述べた。

 今後も増加が見込まれる「スーパーパワーファミリー」だが、その生活スタイルは「いつの間にか富裕層」とは対照的だ。

 野口幸司氏は、「消費性向が非常に高く、住みたいところに住み、買いたいものを買う傾向がある。また、投資経験率は非常に高く、金融リテラシーも高い。若い頃からNISAや従業員持株会を使って資産を積み立て、少額ながらも為替取引や仮想通貨を保有している傾向にある」と分析している。

 富裕層の増加は格差の拡大を示すかもしれないが、野口幸司氏は「一見すると貧富の格差が開いているように見えるが、底上げされていって徐々に日本全国としては家計資産は増えていると言えると思う」と述べている。
 

富裕層増加の「3つの要因」

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移
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 超富裕層、富裕層、純富裕層が年々増えている状況について、エコノミストの崔真淑氏は「3つの要因がある」と分析した。

「(1つ目は)コツコツ積み上げてきた株式投資やリスク資産に投資してきた人たちが今、花開いてきたことがある。2つ目は、先ほど『格差』という言葉も出てきたが実はこうした富裕層の人たちは首都圏や愛知県のあたりに多いというデータもある。これは日本経済の回復、円安によって輸出企業がまず潤っているところが大きい。すると、輸出企業がたくさん拠点を置いてるような首都圏や愛知県で働いてる人たちの投資できる元本、お給料も増えていることが大きい。3つ目は、堅実に投資をしていただけではなく『実家が太い』であるとか、相続の影響もあるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)
 

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【映像】「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
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