第1話では真人による殺人の犯行描写はないものの、澪には絶対に見せない殺人鬼たる真人の異常行動が成宮の冷徹な表現によって仄めかされる。夜中に澪が一人ベッドから抜け出ると、真人は空気の動きで澪の動向を察知するかのように両目ガン開きの全集中。ベッドに横たわりながら、瞬き一つせず虚空を凝視する成宮の能面フェイスは極めて不気味だ。
朝の出勤では、にこやかに澪と手を振って別れた次の瞬間、成宮の顔から生気が抜ける。前方から来た自転車にベルを鳴らされると、避けると見せかけて自転車にキックを強烈に叩き込む。そして植木に倒れ込んだ運転手をチラ見さえすることなく、ただただ歩き去っていく。
神社の階段では、土砂降りの雨の中、昭和の名曲『私の青い鳥』を低音ボイスで呟くように歌唱。赤い鳥居が見えた途端、差していた傘を地面にフルスイングで叩きつけて破壊する謎行動に突っ走る。当然全身ずぶ濡れになるのだが、当人は感情ゼロ。そもそも神社がどのような場所であるのかも知らないのか。
ちなみに『私の青い鳥』は真人曰く「母が好きだった曲」とのこと。澪との初カラオケではキュートな振付を交え、楽しそうに声を弾ませて歌っていたはずなのに。この常軌を逸した落差では『私の青い鳥』があまりにも不憫だ。
「キックシーンは後でリピする」「時計じかけのオレンジを思い出す」成宮の悪役っぷりに興奮する視聴者

