28日、参議院予算委員会において、立憲民主党の水岡俊一議員が学校の教員不足問題について質問した。
【映像】「ご着席ください。けっこうです」鶴保委員長が“匙を投げた”瞬間
水岡議員は「厳しい言葉を選ぶならば、学校はもう危機的状況だ。今やもう学校が崩壊するのではないかと思うくらい教職員のなり手がいなくて確保できない。臨時でお願いをしても難しく、結局欠員状態になっている。4月の1年生スタートの時にせめて担任が教室の前に立つのは、全ての子ども、全ての保護者の願いだ。それが実現できないほど今大変な教職員不足になっている。この責任は一体どこにあるのか?」と質問。
これに対し鶴保委員長は「簡潔にお願いしますね」と前置いてあべ文科大臣を指名した。というのも、この前のやり取りで資料を読み上げるあべ大臣の回答の“長さ”が問題になり、鶴保委員長「ご着席ください。けっこうです」と“匙を投げた”事態が生じていたからだ。
あべ大臣は資料に目を落とし「現在の教師不足の状況は、産休・育休の取得者、また特別支援学校の見込み以上の増加に対して臨時講師のなり手が不足しているといった構造的な要因が大きいと認識しているところだが、教師を志す学生の一つとしては教師の勤務環境に対する不安もあると承知している。教師不足の責任を特定の主体に帰着させることはできないが…」と読み進めると、国会はザワザワとしだし、苛立った様子の議員も。
だが、あべ大臣は続けて「国・教育委員会、それぞれが危機感を持って対応していくことが重要であると考えており、文科省としては、教師に優れた人材を確保するため、学校における働き方改革のさらなる加速化と教師の処遇改善と、学校の指導・運営体制の充実と教師の育成支援を一体的に推進する」と述べた。
水岡議員は呆れたような表情で「(あべ)大臣、それはやってこられたんじゃないですか? 別に昨日からやり始めたわけでも昨年からやり始めたわけでもない。そんな中で学校が大変なことになっているから聞いている。もう原因がどうだこうだという話を並べ立てても何にもならない。例えばこの原因については誰の責任でやらなきゃいけないのかということを明確にしながら対応していかなければならない。そのことを議論しようと言っている」と話すと各所から「そうだ!」という声が。
水岡議員は続けて「総理ね」と石破総理に訴えかける形で以下のように続けた。
「責任問題がはっきりしないから、あるいは問題の本質がどこにあるかがわからないから、なかなか前に進まない。私は、やはり学校の働き方改革が前に進まないことが大きく関連していると思う。そもそも論として確認をしておきたいことがある。厚労大臣、働き方改革関連法案が2018年に出されて19年に施行されたが、働き方関連法の目指すもの、目的は何か?」
福岡厚労大臣は「働き方改革を総合的に推進するために、長時間労働の是正、そして多様で柔軟な働き方の実現、そして雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずることを目的として制定されたものだ」と回答した。
水岡議員は同意しつつ「法律ができたから一朝一夕にそれが成り立つわけではないということは誰も承知で、だからこそ5年の猶予、2024年まで。でも、2024年4月にはもうみんなで働き方改革をやりましょう、こういう話になっていたにもかかわらず、なぜか学校だけがエアポケットのように外れてしまっている。学校の超過勤務、時間外労働を認めていないのが現在の日本政府の立場。これはおかしくないか? 働き方改革であれほど時間外労働を縮減していくと言っているのに、学校は働きすぎて過労死がいまだに絶えない。これはなんとかしなきゃいけないと総理、思われないか?」と訴えた。
石破総理は「なんとかしなければならない。それは、教師の人権の問題でもあるが、同時に、子どもたちに皺寄せがいくということは、もう我々としては取り返しのつかないことをやることになる。(水岡)委員と私は同学年だが、当時とは違うんだという認識を持たねばならない。先生方の仕事はものすごく増えた。じゃあ、それを誰がどのように代替をしていくのかということも含めて、あるいはライセンスを持っておられるが現場に出ておられない方々にどのようにして働いていただくかも含めて、より精緻な分析、対応をする」と答えた。
水岡議員は「働き方改革を進めるにおいて、じゃあ学校現場での働き方が労働基準法に合っているのか、あるいは、労働者の命と健康を守る、そういった働き方になっているのかという点で、やはり労働者を守る労働基準監督権はどこにあるのかと考えた時に、これは人事委員会にあるとなっている。全国の人事委員会を監督する立場にある大臣として、自治体の人事委員会が教職員はじめ市役所の地方公務員等の命と健康を守るという意味で機能しているのか、大臣、考えを聞かせてほしい」と村上総務大臣に聞いた。
村上大臣は「自治体の教員に関しては、勤務条件に関する労働基準の監督は人事委員会と自治体の長が行うこととされている。総務省としては、人事委員会等が有する労働基準監督機関としての役割の重要性を踏まえ、様々な機会を捉えて過重労働に対する監督指導などを徹底して行って助言している。さらに、人事委員会は勤務条件に関する苦情処理や措置要求に基づく必要な措置の勧告などの権限も有している。人事委員会においてこれらの権限が適切に行使され、教員の過重労働をはじめとする自治体職員の勤務条件に関する課題が改善されるよう、引き続き必要な条件を一生懸命やっていきたい考えている」と答えた。
水岡議員は「総務大臣からも一生懸命やるという答えをいただいたので、これからもまた議論を進めていきたい」と述べた。
(ABEMA NEWS)
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