フジテレビ調査の第三者委員会 調査報告書を公表 業務の延長線上の性暴力と認定
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 フジテレビの一連の問題を巡って先月31日、第三者委員会が調査結果を公表し、中居正広氏と元フジテレビアナウンサーのトラブルは「業務の延長線上の性暴力」と認定した。

【画像】被害に至る経緯 フジテレビ社員の関与は?

■第三者委報告 業務の延長線上の性暴力

 まずは、中居氏と女性のトラブルから見ていく。

 第三者委員会が公表した調査報告書は、要約版を合わせると394ページにも及ぶ。

 第三者委員会は、中居氏と元フジテレビアナウンサーの女性Aさんのトラブルを「業務の延長線上における性暴力」と認定した。

業務の延長線上における性暴力と認定
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 調査にあたってはハードルもあったようだ。双方の代理人弁護士に守秘義務の解除を依頼したが、中居氏は「守秘義務の解除をしない」としたため、双方に守秘義務がある状態でヒアリングをしたとしている。

被害に至る経緯
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 なぜこのような判断をしたのか。被害に至る経緯を見ていく。報告書によると、発端は2023年5月28日、3日後に中居氏のマンションで開かれるバーベキューの会に向けてのやりとりだった。

 中居氏はフジテレビ社員のB氏に「男同士じゃつまらんね、女性いるかなね」とショートメールを送ると、B氏は「アナウンサー調整してみます」と返信。

 B氏は、中居氏と面識があったAさんを誘うと、マンションに向かう車内で「仕事でプラスになる」と話したという。

 6月2日には、中居氏はAさんに「今晩食事はどうか。メンバーを誘っている」とショートメールを送ったが、実際は誰も食事に誘わず、飲食店も探していなかったという。

 その後、自身のマンションに誘ったといい、Aさんは「芸能界の大御所からそういわれたら今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない」と述べているといい、この後、中居氏の部屋で性暴力が起きたとしている。

 中居氏とAさんの関係性については、両者の権力格差、フジテレビにおけるタレントと社員の会食を巡る業務実態などから、本事案はフジテレビの「業務の延長線上」における性暴力であったと認められる、としている。

フジテレビ社員の関与は?
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 では、報告書はフジテレビの社員の関与をどう評価したのか?

 B氏やフジテレビ社員が関与した事実は認められなかったとしたうえで、2日前に行われたバーベキューの会を踏まえてAさんが「同種の会合」と認識したことに影響があると指摘している。

 また、トラブル発覚後のB氏らの対応について、B氏らは中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって見舞金名目で現金100万円をAさんの入院先に届けたことがAさんに対する口封じ、二次加害行為と評価した。

 また、B氏が中居氏にAさんの退社を伝えると、中居氏からショートメールで「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな」「色々たすかったよ」と返信があり、B氏が「ひき続き、何かお役に立てることがあれば、動きます」と返信していたことが分かった。

■フジの“接待文化”の実態は?

 続いて、類似したハラスメント事案も確認されたという。フジテレビの“接待文化”ともいえる実態について見ていく。

 第三者委員会は類似事案の有無についても調査し、関係者へのヒアリングなども行ってきた。

 フジテレビ社員のB氏に関して、今回の問題に類似した重要な事案が2件あったという。

類似事案も確認
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 2021年、Aさんとは別の女性アナウンサーは有力な番組出演者らとのホテルのスイートルームでの会合で、B氏らが退席した後、セクシュアルハラスメントを受けたとしている。

 また10年以上前にも、女性社員が有力な番組出演者との飲食の場に呼ばれ、その後、B氏らが退席。番組出演者と2人になり、セクシュアルハラスメントを受けたとしている。

 共通しているのはB氏らが女性を置き去りにして、その後、ハラスメント被害が生じたということ。

不適切な会合の原因と実態
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 こうした不適切な会合が行われた原因について報告書によると、フジテレビには「性別・年齢・容姿」などに着目して呼ばれる会合があるという。

 フジテレビは組織上、若い女性アナウンサーなどは、編成制作局の幹部と上下関係にあり、有力な出演者とは良好な関係を損なわないように振る舞わなければならない状況があったという。

 第三者委員会は、フジテレビのキャスティング力を高める企業活動は編成制作局の「業務」として行われ、現実的にハラスメント被害もあったと指摘している。

 蔓延(まんえん)するハラスメントに関して過去には、こういった事例もあったという。

蔓延するハラスメント
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 BSフジの報道番組でキャスターを務める反町理元取締役が2006年から2008年ごろ、後輩女子社員2人を1対1の食事にそれぞれ誘い、断ると仕事で叱責するなどのハラスメント行為があったとしている。反町氏は、2021年にフジテレビの取締役に昇格。先月27日付で、取締役を退任している。先月31日の放送は、本人の申し出があり、出演を見合わせたという。

 そんな反町氏のように、過去にハラスメントの問題があった人物が幹部社員に昇格しているため、ハラスメントを訴えづらい状況にあったという。そしてこうした背景には、人権意識が低く、セクハラを中心とする「ハラスメントに寛容なフジテレビ全体の企業体質がある」としている。

■日枝氏の影響力にも言及 第三者委

 第三者委員会は、フジテレビのドンとして長年君臨してきた日枝久氏の影響力にも言及している。

日枝氏の影響力
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 日枝氏は1983年に取締役になると、社長や会長を歴任しながら、40年以上にわたって取締役を務めてきたが、先月27日に取締役相談役の退任が発表された。

 この日枝氏について第三者委員会が行った役職員アンケートでは、日枝氏が人事権を掌握していると「感じる」と回答した人は82%。さらに「役員が日枝氏のほうばかり見て行動している」「日枝氏に気に入られた人物が出世している」という選択肢を過半数の回答者が選択したという。

日枝氏の影響力に言及
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 また、第三者委員会の調査では、日枝氏はフジテレビとフジ・メディア・ホールディングスのトップ人事を決めていたとし、「経営に強い影響を及ぼし、組織風土の醸成に与えた影響も大きい」と指摘した。

 また、第三者委委員会は、Aさんへの対応と中居氏の出演継続に関する意思決定が、当時の港浩一社長や大多亮専務、編成制作局長の壮年男性3名のみで行われたことに「驚きを禁じ得ない」としている。

日枝氏ら経営陣の責任は?
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 日枝氏ら経営陣の責任について第三者委員会の委員長の竹内朗弁護士は、「日枝氏を排除すれば立ち直るかといえば決してそうではない。取締役全員責任がある」と指摘。

 清水社長は先月31日の会見で「企業風土、ガバナンスなどの問題について大変厳しい指摘を受けた。真摯に受け止める」と述べている。

■CM再開は?企業の反応

 調査報告書を受けたスポンサー企業の反応を見ていく。

企業の反応
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 食品大手「味の素」は、「人権尊重に関するポリシーを踏まえ総合的に判断する。CM再開時期は未定」としている。

 生命保険最大手「日本生命」は、「再発防止策の内容の妥当性はもちろんのこと、適切に実行されているかどうかが重要。直ちにCMを再開することはない」としている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年4月1日放送分より)

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