
備蓄米を放出しても上がり続けるコメの価格。小学校では給食でご飯の回数が減るなど各地で緊急事態が起きていました。
【画像】わせ品種の「こしいぶき」 最高級のブランド米を超える高値に
■ブランド米超え“逆転現象”

日本一のコメどころ、新潟県にある地域密着型のスーパーです。
高騰が続くコメの価格。いまだかつてない“逆転現象”が起きています。
スーパーマルセン 太田雅悠専務
「こちらが新潟県産の、それも魚沼産のコシヒカリ。5キロで税込み4946円の販売価格」

コメの食味ランキングで、最高評価の「特A」を最も多く獲得している魚沼産コシヒカリ。5000円に迫る価格まで高騰しています。
この最高級のブランド米を超える高値のコメがありました。
太田専務
「この隣が新潟産こしいぶき。コシヒカリの新米が出る前のつなぎ米。古米と新米をつなぐ間のわせ品種のコメ。コシヒカリを超える価格が付いている」

以前は、5キロ2000円以下で売られていた「こしいぶき」。15日の価格は、5キロで5054円です。魚沼産コシヒカリの価格を超えています。
50代
「今値段を見たらびっくりした。コシヒカリのほうが高くてこしいぶきのほうが安かったイメージ」
去年のコメ不足の影響で、安かったこしいぶきの需要が急激に伸びて、在庫がひっ迫したことで、価格が急上昇したとみています。
太田専務
「わせ品種のコメがブランド米を超える価格が付くのは、今まではあり得ない。そこまでコシヒカリを超えるような販売量、需要が高まるとは本当に夢にも思っていなくて逆転現象に驚いている」
■備蓄米入札3回目 参加対象を見直し?

全国のスーパーでの平均価格は、6日までの1週間で5キロあたり4214円。14週連続の値上がりで過去最高値を更新し、去年の2倍以上に高騰しています。
これまで2回にわたり放出された備蓄米は21万トン。その多くはJA全農が落札し、取引のある卸売業者を通じて一部のスーパーなどでブレンド米として売られています。

太田専務
「備蓄米に関しては我々の店にはまだ届いていない。今回(備蓄米を)買ったJAと直接取引がないと、なかなか備蓄米は手に入らないと言われていた」

15日、江藤農水大臣は、3回目の入札に参加できる集荷業者について、対象を見直す考えを明らかにしました。
江藤拓農水大臣
「1回目2回目は同じメンバーで入札をした。3回目については入札資格審査をもう一回やろうと思っている。入札で落札した集荷業者の数が増えれば、隅々まで行き渡らせるのには一定の効果があるのでは」
■コメ高騰で…給食も緊急事態
備蓄米が広く行き届いていないなか、コメの高騰で、学校の給食も緊急事態に陥っています。
大阪府の東部に位置する交野市の小学校です。15日、4年生の給食の様子を取材させてもらいました。

児童たちが食べている給食の主食は、コッペパンです。交野市の小中学校ではこの1学期、週5日のうち、月水金の3回は「ご飯」を提供。火木の2回は「パン」を提供しています。ところが、2学期からはご飯の回数が「2回」に減ります。

小学校を訪れた、交野市の山本景市長です。
山本市長
「ご飯のほうが良いって子は?」
児童
「はい」
山本市長
「2学期ごめん。パンの回数増えるけど、できるだけ早くご飯の回数、元に戻すから。今回許してほしい。ごめんね」
市内の小中学校に通う子どもたちは、およそ5900人。ご飯の回数を3回から2回に減らす決断に至ったワケは?
山本市長
「理由は一言で言えばコメの値段が上がっていて、今まで1キロ500円くらい。これでも上がっていたが、さらに1キロ800円近くまで2学期は上がる見込みなので、苦渋の決断。ただコメの出す量(1食分)を減らすのは絶対に避けないといけない」
実は、給食費を上げることも、ままならない事情が。
山本市長
「交野市では今、小5から中3まで給食を無償化。かたや(小学校)1年から4年までは有償なので、同じ学校でかたや無償でかたや値上げとは言えない」

さらに、他の食材も軒並み値上がりしているため、年間4600万円を市が負担しているといいます。

山本市長
「クラウドファンディングで色々な人から寄付を。給食費の高騰分ということで募っているところ。目標金額は4600万。この2年間で給食費が増えた分を上限としている」
■日本の半額 韓国米人気
安いコメを求める人たちは、海を越えてお隣の韓国にまで押し寄せています。

ソウル市内のマートではコメ10キロで値段はおよそ3000円。日本の半額以下です。さらに、ずらっと並んでいるのは韓国で作られているコシヒカリです。日本人におなじみの品種も売られています。
日本人観光客
「日本の値上がりする前の値段。久しぶりに見た、こんな値段」
「びっくり。食べてみよう。買って帰る」
■スーパーの弁当の主役が「麺」に?
日本国内のスーパーでは、コメ高騰の対策として新たな動きが出ています。
都内や千葉県に店舗を持つ、「スーパーシマダヤ」です。総菜売り場では、ご飯を使った弁当に、ある変化が。
スーパーシマダヤ 秋山賢次本部長
「今年は特にコメが高騰しているので、それに代わる分として、うどんやそばをセットにしてひとつの弁当にする。こういった商品を今まで以上に数を増やして展開したい」

テーブルに、ずらっと並べられた弁当。ポップに書かれているのは、「麺を主食に」「発想転換で解決」「主役は麺」。
弁当の中身を見ると、その言葉通り、主役となっているのは、うどんなどの麺類です。
全国202社、4469店舗のスーパーが加盟するCGCグループが、コメの高騰を受けて今月、提案した新たな取り組みです。
加盟店のスーパーでは、コメだけでなく、麺も主役にする動きが活発化しています。

秋山本部長
「コメ以外で代替になる麺類、パンの開発は必須になる」

炒飯と焼きそばをミックスした弁当。コメと麺のコラボなど、“ハイブリッド弁当”を今後、増やしていくといいます。
秋山本部長
「米飯自体は数量ベースは維持しつつ、パン麺類を作りながらプラスアルファを狙っていきたい。結果的に今まで米飯ばかりだった品ぞろえの中からいろんな品ぞろえが増えることによってお客様からも支持してもらえるきっかけになるのかなと」