■後遺症に悩む女性、診断に安堵も「逆にいつまで続くのか…」
日本では、2023年5月の5類移行までに3380万人超が感染した。「新型コロナ後遺症」は、少なくとも2カ月以上持続、他の疾患による症状として説明が付かないものを指し、感染者の約6%が後遺症発症との研究に照らし合わせれば、200万人超と推定される。
nanaさん(40代女性)も、コロナ後遺症に悩んでいる1人だ。2021年8月に感染(デルタ株)、職場復帰するも「謎の倦怠感」が続き、テレビの後遺症報道を見て「自覚」した。2022年6月、「コロナ後遺症によるウイルス性髄膜炎脳炎」と診断。2023年5月に倦怠感で会社(放課後等デイサービスの職員)へ行けず3カ月寝たきりとなり、その6月から休職している。現在は車いすで生活しており、倦怠感や手足に力が入らない、頭が重く首がグラグラする、ブレインフォグなどの症状が残る。
原因は「特に大きな持病がなかったため、コロナしか考えられない」という。しかし、当初は後遺症の存在もあまり知られていなかった。「何をしたらいいかわからず、このふらつきが何からきたのかも考えられない状態だった。同僚に聞いたり、ネットで『コロナ おかしい』などと検索して、後遺症外来を自力で見つけた」。
また、周囲の理解も進んでいなかった。「5、6人いるスタッフから1人欠けると、ものすごく痛手になる。コロナ感染で2週間休み、さらに休職となると、会社への打撃も大きい。皆が私のことを気にかけてくれたが、それと同時に会社のことも心配して、『コロナ後遺症とは絶対に言わないで』と言われた」と振り返る。
治療はてんかんや神経痛を抑える薬を服用し、担当医は「薬を飲みながら経過観察するしかない」と話しているという。「コロナに感染しても治ると思っていた。『後遺症』という言葉・診断がついた点では楽になったが、逆に『いつまで続くのか』と未知の世界に入った」との不安も明かした。
■症状は?確立されていない治療法 社会の目や医療、行政に課題も
