36歳となった“伝説の壊し屋”京谷と、3連敗からの2連勝でバンタム級11位に浮上し、さらなる再起を目指す翼。サウスポー同士、実力者同士の意地と技術がぶつかり合う注目の一戦となった。
序盤は高度な技術戦で幕を開けた。京谷は左ストレートと右ジャブを駆使して距離を支配し、翼の前進を牽制。第1ラウンドから下がりながら的確にパンチを当て、相手の攻撃をいなすようにダメージを積み重ねた。至近距離ではクリンチが目立つも、ペースを握らせない巧みな試合運びは、まさに老獪そのものだ。
第2ラウンドに入ると、翼がハイプレッシャーで京谷を追い込む。しかし、京谷は下がりながらも攻防を保ち、近距離で放ったカウンターの一撃がアゴを捉え、効かされた翼は思わずクリンチに逃れる。ブレイク直後の隙も逃さず攻める京谷。ラウンド残り2分、ギアを上げた京谷の左ストレートが炸裂し、翼が前のめりにダウン。試合の主導権を握った京谷の猛攻が続くが、翼はなんとかこのラウンドをしのいだ。
第3ラウンド、京谷は下がり気味にリードを維持しようとするが、翼が強引に圧力を強め、左ストレートでぐらつかせると、そのままコーナーポストへと追い込む。京谷も飛びヒザで応戦するが、ハンマーのようなフルスイングの左ストレートが顎を直撃。京谷はポストに串刺しとなり、ずるずるとマットに崩れ落ちた。その後立ち上がろうとするも、力が入らずKOが宣告された。
この壮絶な逆転KO劇にファンも騒然。気持ちで勝負を決めた翼にファンも「強引にいったな」「ぐにゃりだった」振り返る。一方、勝利目前で悔しい敗北を喫した京谷には、「京谷、打たれ弱くなってる?」とダウンの増加を指摘する声や、「36歳よくやったよ」「せっかくここまでうまくやってたのに…」といった労いの声も多く寄せられた。
勝利者マイクで「京谷選手は強くて、作戦どおり戦えなかった」と相手の強さを振り返った翼。対する京谷は、リングを降りた後、会場後方の花道で待っていた小さな娘に駆け寄り、ひざをついて涙を流した。勝者と敗者――あまりにも対照的なシーンに、観客からは「これは泣ける」「娘さんか…切ない」といった声が上がった。
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