
“トランプ関税”の交渉を巡って、政府内でアメリカ産のコメの輸入を拡大する案が浮上しています。これに対し、夏の参議院選挙を控えた自民党内から賛否の声が上がっています。
【画像】日米の関税交渉 トランプ大統領は「合意に前のめり」 その証拠は?
■日米関税交渉…駐日大使「合意に至ると楽観的に見ています」
22日、アメリカの新しい駐日大使、ジョージ・グラス氏と面会した石破茂総理大臣。

石破総理
「トランプ大統領の信任が極めて厚い大使閣下のご着任。日米同盟にとって大きな意義があることだと思っている」
会談後、日米の関税交渉についてグラス駐日大使は、次のように話しました。

グラス駐日大使
「合意に至ると楽観的に見ています」
トランプ大統領が交渉の場に乗り出したことが「合意に前のめりな証拠」だといいます。
来週に予定されている赤沢亮正経済再生担当大臣と、ベッセント財務長官らとの2度目の協議。日本側の交渉カードとして政府内で浮上しているのが、アメリカ産のコメの輸入拡大です。

総理側近
「コメは選択肢に入るだろう。コメが交渉のテーブルに乗る可能性はゼロではない」

赤沢経済再生担当大臣
「コメについて、いろいろ報道がでているのは承知している。詳細は外交上のやりとりなので、言及は差し控えたい」
■アメリカ産コメ輸入拡大案に農業関係者から反対の声

現在、日本は海外産のコメについて国際協定で決められた量を輸入。「ミニマムアクセス米」と呼ばれ、毎年77万トンほどを無関税で輸入し、枠を超える輸入には1キロあたり341円の関税を課しています。

21日に発表されたコメの平均価格は5キロあたり4217円で、15週連続で最高値を更新しました。

官邸関係者
「本音では100万トンくらい緊急輸入したらいいと思っている。コメが足りなくて高騰して、備蓄米まで放出しているんだから。それでトランプ大統領が満足するならウィンウィンじゃない」
しかし農業関係者からは、反対の声が噴出しています。

「令和の百姓一揆」実行委員会
高橋宏通事務局長
「日本の農家も日本の国民も、誰もメリットがない」
アメリカ産のコメの輸入拡大で国産米の価格が下がれば、農家は大きな打撃を受けるのではと危惧しています。
高橋事務局長
「減反しておいて輸入拡大というのは納得できない。なんでこんなに農業が苦しいのに、アメリカの農家さんのために日本がわざわざ税金を出しておコメを買わなければいけないのか非常に不満」
■専門家も指摘 コメの輸入拡大、時期的に難しい?
日本人の主食であるコメは“聖域”。自民党内からも警戒する発言が相次ぎました。

江藤拓農林水産大臣
「もし大量に主食である自給可能なコメを海外に頼るという体制を築いてしまって、国内生産が大幅に減少することが国益なのか」

自民党 鈴木俊一総務会長
「特にコメは非常に政治的にもセンシティブな問題。国益を守る、日本の農業を守るということを前提として、相互が利益を得るということで議論を進めてもらいたい」
専門家も、コメの輸入拡大は時期的に難しいのではと指摘します。

政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
「参議院選挙とトランプ関税協議が重なる。おいそれと結論を出すわけにはいかないというのが自民党の総意だと思います。参議院選挙でも一人区が32区ある。ここが勝負の分かれ目。この32区はいずれも農業県。参議院選挙ぎりぎりの段階で決断するには、あまりにも時間と準備がなさすぎると思う」
(「グッド!モーニング」2025年4月23日放送分より)
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