「ある日突然、父親に『1カ月後に夜逃げするぞ』と言われた」と語る依頼者。急に引っ越すと近所に気づかれてしまうため、少しずつ荷物を長野県にある母親の実家へ送り始めた。「広まっていっちゃうから『友達にも言うな』って言われた。毎日遊んでるし、放課後家に来てもらったこともあったので、苦しかった」と、その1カ月間はつらい日々だったという。

 夜逃げの当日は、食事に行くようなふりをして昼から夕方にかけて親子3人で家を出た。転校については、親が学校に電話した後、校長同士がやり取りして手配し、夜逃げから1週間後には新しい学校に通い始めていたそうだ。

「不自由なく暮らしていたのに、壁が薄くて隣人の話が聞こえてきたり、テーブルもなかったので組み立てた段ボールの上で食事を取ったり。急に生活が変わった」

 さらに依頼者は中学校卒業時、すでに独立していた当時20代の兄の元へ引っ越すよう言われたという。高校の学費を自分で稼ぎながら、生活費は兄に出してもらっていたという苦労を明かした。

 現在は結婚し、子どもも2人誕生。「ちょっとずつそういうので(幸せを)取り戻してはいるけど、子どもの頃の幸せな空間にもう一度戻りたい」と、この依頼へと至ったのだった。

現在住んでいる家族に交渉