互いに格闘家としての実績は疑いようもないが、戦前の「フェラーリ当て逃げ vs. K-1反則大王」の場外バトルが注目を集めたこの試合。K-1クルーザー級王者のシナは、過去のローブロー連発により“反則大王”の異名を持つ。皇治の事故について「ルールを守れないやつは大嫌いだ」と“おまいう発言”で挑発し、「リングで教育する」と宣言。一方の皇治は、フェラーリ当て逃げ騒動で書類送検されており、“みそぎ”復帰戦で丸刈り姿を披露。「シナにだけは言われたくない!」と吠えた。
皇治(173cm、70.40kg)とシナ・カリミアン(200cm、98.00kg)ではグローブハンデはあるものの、フレーム差は明らか。序盤から“打たれない抱きつき”戦術でクリンチを多用する皇治。何度もレフェリーが組み付きの制止に入る展開となったが、残り1分、カリミアンの猛攻を受けコーナーに追い込まれ、1ラウンドは苦しい立ち上がりとなった。
2ラウンド、カリミアンのパンチをかいくぐる皇治。時折ヒヤリとする場面もあったが、なんとかアッパーで反撃を試みる。しかし、ほとんど効かず、後半には連打を被弾。必死のワンツーも通じず、カリミアンが「もっと来い!」と挑発するが、やや肩で大きく息をする場面も見られ、スタミナ切れの兆候もにじむ。
3ラウンド、カリミアンは鋭いパンチを見せつつも徐々に失速。皇治はサークリングでペースを握り、ボディ打ちを中心に応戦。クルーザー級の重いパンチを受けながらも打ち合いに耐え、終了間際には連打を叩き込み、3ラウンド・9分を堂々と戦い抜いた。
このままノーサイドで終わるかと思いきや、皇治はひと波乱を起こす。カリミアン陣営「RibelLion」が贈呈した“アカン 皇治ちゃん ルールを守れ!”と書かれたTシャツを手に取ると鼻をかむジェスチャーでマットに投げ捨てるパフォーマンスで対抗。ピリついた空気が流れる場面だったが、今日は疲れた様子のカリミアンが笑顔で受け流す“大人の対応”を見せ、事なきを得た。
先日のKrush参戦時に“マナーの悪いヒール軍団”としてファンから大ブーイングを浴びた「RibelLion」陣営への皇治の“塩対応”に「どこが禊マッチだよ」との声や、「猫パンチカウンター」や「シナの手加減パンチ」といった辛辣なコメントも。一部では「カリミアンが反則したら、もっと盛り上がったのに…」と、期待を裏切る“フェアプレイ精神”に失望の声も漏れた。
試合前の記者会見では、街路樹クラッシュの件に絡め「フェラーリがボコボコになっても俺は無傷」と、ややズレた論点で自らの“耐久性”をアピールしていた“世界の田中”こと皇治。結果として“人間街路樹”カリミアンの猛攻を前に決定打こそなかったが、その“並外れた丈夫さ”だけはしっかりと示した一戦となった。
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