【明治安田J1リーグ】湘南ベルマーレ0ー1サンフレッチェ広島(5月7日/レモンガススタジアム平塚)
サンフレッチェ広島のMF東俊希が脳震盪を起こし、担架に乗せられてピッチを後にすることになった。その時すぐ近くのタッチラインからピッチ外に出なかったことで、スタジアムからブーイングが起こったのだが、それを湘南の選手たちが制止。スポーツマンシップあふれる行動に、ファンが称賛を送っている。
注目のシーンは、広島と湘南がJ1リーグ第15節で対戦した試合の81分のことだ。熾烈なルーズボール争いを繰り広げた広島の東と湘南のMF鈴木雄斗が、バックスタンド側で激しく交錯。すると、東は頭を抑えながらピッチに座り込んでしまった。
山本雄大主審が迅速に駆け寄り状態を確認する。頭を指差すジェスチャーで脳震盪があったことを周囲に伝えると、時計を止めて試合を中断。広島の医療スタッフを呼び、すぐに担架も要請した。
東は今節すでに一度、頭部にダメージを負っていた。実況・桑原学氏が「前半に鈴木雄斗の肘がアクシデントで当たってしまいました。相当、額を腫らしました。そのままずっとプレーを続けてきましたけど、おそらくそこの部分でしょうね。先ほどレフェリーがそんな話をしていました。脳震盪での交代が適用されるようです。だとすると、ここまでやってよかったのかなという気がしますけど」と心配そうに状況を伝えている。
84分、頭部を固定した東の乗る担架は主審の指示のもと、コートを横断しながらベンチに直行する形でピッチを退くことになった。その瞬間、スタジアムから大きなブーイングが飛んだ。しかし、古巣対戦となった湘南のMF藤井智也をはじめ、湘南の選手たちが手を上げてやめるように訴えかけた。
解説・長谷川アーリアジャスール氏は「(負傷部が)頭の場合は(コートの)外を回るよりも早くピッチの内からこっち(ベンチ側)に来たほうがいい」とコメントし、桑原氏も「今はおそらく『なんで近いところから出ないんだ?』という(サポーターからの)抗議だったと思いますけど、事象が事象ですし、時計は止めてあります」と付け加えた。
相手チームの選手の負傷がキッカケで巻き起こったブーイングを自発的に制止させた湘南イレブンの行動に、ファンがSNSで反応。「湘南サポのブーイングに対して選手が抑えるように言っててすごく良いなって思いました」「湘南の選手はサポーターのブーイング止めようとしてて、スポーツマンシップを感じる場面だった」「俊希大丈夫かな…湘南の選手はブーイング抑えてくれて有り難うやで」「湘南サポのブーイングに対して湘南の選手が沈静化させる動きしてくれてホンマにリスペクト!」「ブーイング止めさせた湘南の選手はプロフェッショナルだ」「脳震盪だから最短距離でピッチ出るのでちゃんとブーイング鎮めてくれた湘南の選手たち」「湘南の選手がサポーターのブーイングに身振り手振りで『抑えろー』ってやる、選手として誇れるね」と称賛の声が相次いだ。
試合は広島が6分に得た1点のリードを守り切り、2連勝を達成した。一方の湘南は2連敗となったが、紳士的な行動は多くのサッカーファンの胸を打つものだった。
なお、試合終了後には、頭部にテーピングを巻いた東がベンチに座ってスタッフとコミュニケーションを取っている姿が映し出された。
(ABEMA de DAZN/明治安田J1リーグ)





