価格が高騰しているコメの入手方法として、株主優待が注目されている。SNS上でも“株主優待米”の入手報告が増加しており、個人投資家に人気の特典となっている。しかし、送る側の企業にとっては、この優待が一部負担となっている実情も浮き彫りになっている。
大手引っ越し企業「サカイ引越センター」の例を見ると、優待米の調達費用や配送料が膨らみ、純利益の見通しを押し下げたという。この問題について同社は取材に対し「ノーコメント」とした。
そうした中、株主優待米を実施している企業には、どのようなメリットがあるのか。都内のシステム開発企業「ソルクシーズ」は、2018年に廃止していた米の株主優待を2022年11月に再開したが、広報担当の田中亜希子氏は「優待目的で保有しているというのはデータから見える。ここに来て株主は、更に増えつつある」と実情を語った。
ソルクシーズの株主優待では、2025年6月末までの1年間、1000株を保有している人には、9月に5キロのコメが発送される。贈られるのは、契約をしている農家のブランド米だ。2025年に入り、1日の株の売買高が普段の5倍以上になる日もあり、“株主優待米”の注目度の高さを感じているという。
一方で、予想しきれなかったコスト増にも直面しているという。「ここまでの高騰は正直想定していなかった。食品なので保管や温湿度の管理が大変で、配送料もかかる」と田中氏は語る。同社では、1年間で必要となるコメの量が10トンを超えると見通しているが、現時点で確保の目途は立っているとのことだ。
同社は、今後も株主優待米は続ける方針とのことだが、コメ目的で株を保有する個人投資家たちについて、企業としてはどのように考えているか。
「きっかけが優待であったにせよ、弊社、特に事業に興味を持ち、できれば長く保有し応援していただきたい気持ち」(「ソルクシーズ」広報担当・田中亜希子氏)
桐谷さんに聞いた 株主優待米は抽選に…外れたら?
