前に出て打ち合い、倒し切る姿勢を崩さなかった攻撃的ファイトの応酬。ダウンを喫しても立ち上がり応戦するも、マウスピースが飛び出す3度目のダウンで“ぐにゃり”と崩れ落ちる衝撃KOで幕を閉じた。
5月18日、エディオンアリーナ大阪で開催された「Krush.175」。夜叉猿(力道場静岡)と戦熊(team ALL-WIN)の対決は、開始から終了まで息つく間もない打ち合いの連続。特に、夜叉猿が放った「マウスピースが飛び出す衝撃のKO」が会場を震撼させ、大会全体の熱気を一気に高めた。
他団体の王者、K-1アマチュアの優勝者と、共通点を持つ“猿と熊”の対決。夜叉猿は、K-1アマチュア優勝、IPCC日本スーパーミドル級王者、第3代KROSS×OVER KICKミドル級王者など、他団体で実績を残す実力者。対する戦熊も、MA日本キックボクシング連盟JAPAN CUPミドル級王者、K-1アマチュアで2階級制覇を成し遂げるなど、ともに着実にステップアップを重ねてきた選手だ。
試合は開始直後から激しい攻防に。ローキックで主導権を握る夜叉猿に対し、フレームがひと回り大きい戦熊は、下がりながらジャブや右ローで応戦。両者はカーフキックを蹴り合い、接近戦では夜叉猿が左ボディや左フックで攻めれば、戦熊も不敵な笑みを浮かべながら右フックを当て、夜叉猿をグラつかせる場面も。夜叉猿はパンチ、ロー、ミドルを織り交ぜたラッシュを仕掛け、戦熊はパンチの連打で応戦。互いに一歩も引かず、白熱の第1ラウンドを終えた。
すると第2ラウンドで試合は動く。夜叉猿はさらに勢いを増して前に出る。終始プレッシャーをかけ、パンチを顔面に数発ヒット。さらに左ミドルから右ストレートをきれいに振り抜き、アゴをとらえて戦熊が吹き飛ぶようにダウン。
戦熊は立ち上がるもダメージは深く、足元はふらついたまま。それでも打ち合いに応じようとするが、夜叉猿は冷静に見極め、左フックから右ストレートを再びアゴにヒットさせ、2度目のダウンを奪う。
それでも心は折れず、ファイティングポーズを取る戦熊。試合再開と同時に夜叉猿は猛ラッシュを仕掛ける。ABEMAの解説・卜部弘嵩が「ああ、危険だな…」とつぶやき、宮田充Krushプロデューサーも「戦熊、勇敢だな…」と、2度のダウンにも屈しない姿勢を称える。夜叉猿は猛攻の手を一旦緩め、冷静に右ハイを顔面に当てて間合いを取りつつ、左アッパーを2発。顎を跳ね上げた直後、最後は右フックをクリーンヒットさせ、戦熊のマウスピースが飛び出すと、ぐにゃりと力なく崩れ落ち、3度目のダウンでレフェリーが試合を止めた。
ファンからは「これがKrush」「猿が熊に勝った」「燃え尽きたな」「仕留めきったのが素晴らしい」と大興奮。リプレイでは、2度目のダウン時にアゴを2発的確にとらえられ、脳が揺れるような衝撃が走る戦熊の姿も映し出され、卜部は「立ち上がったのが凄い」とそのガッツを称賛。最後のKOシーンでは、アゴの力が抜けたようにマウスピースがぽろり…そして崩れ落ちる壮絶な結末となった。
勝利者マイクで夜叉猿は「地元大阪でめちゃくちゃいい勝ち方ができて最高の気分です」と爽やかに喜びを語ったかと思いきや、「ひとこと言わせてください。レオナ(ペタス)さん、オレを“RibelLion(リベリオン)”に入れてください」と、立ち技界で異彩を放つ反乱軍への加入を直訴。
レオナはマイクを取り、「宮田に脅威になる存在になってもらってから考えます」とKrushプロデューサーを呼び捨てにする、いつもの無礼なマイクパフォーマンスを展開。最後は「夜叉猿を注目してやってください」と述べた。
この記事の画像一覧


