日本時間5月31日と6月3日に、ブラジル女子代表とアウェー強化試合2連戦に臨むなでしこジャパン(サッカー女子日本代表)。過去の実績やメンバー発表会見から招集メンバー23人から予想布陣や序列を紐解く。
今年から指揮を取るニルス・ニールセン監督は、過去4試合で4-3-3のシステムを採用(守備時は4-4-2)。今回もこの形が基本形になるだろう。
まずGKは、今季の欧州女子チャンピオンズリーグでも活躍した山下杏也加(マンチェスター・シティ)が頭ひとつ抜けた存在。新監督の下で2試合出場している平尾知佳(アルビレックス新潟レディース)が二番手で、0キャップの大熊茜(INAC神戸レオネッサ)はまずデビューを目指す。
最終ラインは、CBの熊谷紗希(ロンドン・シティ・ライオネス)と南萌華(ASローマ)、左SBの北川ひかる(BKヘッケン)、そしてCBと両SBで起用されてきた古賀塔子(フェイエノールト)が基本的に主力となる。
注目は右SBだ。本来ならレギュラー格の清水梨紗(マンチェスター・シティ)がパリ五輪で負った怪我でリハビリ中のため、ニールセン監督はこれまで古賀、本来はCBの高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)今回は招集外の守屋都弥(エンジェル・シティーFC)などを試してきたが、まだ試行錯誤中。今回はWEリーグ年間最優秀選手に輝いて初招集した山本柚月(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、千葉玲海菜(フランクフルト)、そして清家貴子(ブライトン)など、本来アタッカーの選手をSBで試す構想を会見で明かしている。
「(DF登録にした)山本はトレーニングでテストしてから決めたいが、今の日本人でタレントが足りないポジションはSB。だから彼女はSBで試したいと思っている。攻撃的な選手だが、現状だとSBが一番プレータイムを得やすいだろう。千葉も本職はウイングだが、今回は新しいチャレンジとしてSBでも考えている。だからDF登録にした。SBには攻撃参加も求めているので、ウイングでも馴染みやすい部分がある。清家も可能性としてSBもある」
中盤と前線は、攻守のバランスに優れたアンカーの長野風花(リヴァプール)、突破力とプレス強度と併せ持つ両ウイングの浜野まいか(チェルシー)と藤野あおば(マンチェスター・シティ)、優勝した2月下旬の「2025 SheBelieves Cup」(アメリカ開催の4か国対抗戦)で得点王とMVPに輝いたCF田中美南(ユタ・ロイヤルズ)が引き続き主力となる。アンカーは三浦成美(ワシントン・スピリット)、そして2月のオーストラリア戦のように熊谷を回す選択肢もある。
ただ、今回はチームの要である長谷川唯(マンチェスター・シティ)が、コンディション不良で招集辞退。インサイドハーフは籾木結花(レスター・シティ)、宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)、杉田妃和(ポートランド・ソーンズ)、そして谷川萌々子(バイエルン・ミュンヘン)がスタメンを争う構図になりそうだ。とりわけパリ五輪のブラジル戦、そして2月のコロンビア戦で30m級のゴラッソを叩き込んでいる20歳の新星・谷川には、プレースタイルこそ違うが長谷川に代わって違いを作る存在として大きな期待がかかる。
アタッカー陣は他にもドリブラーの植木理子(ウェストハム・ユナイテッド)が入っており、4月のコロンビア戦で存在感を放った松窪真心(ノースカロライナ・カレッジ)もCFかウイングで出番がありそう。ニールセン監督がSB起用を示唆した清家、千葉、山本が本来のウイングに置かれる可能性も当然あるし、浦和レディースではDFとFWの二刀流として活躍する高橋を最前線に置くオプションも4月にすでに試していた。3トップには多くの選択肢があり、交代枠を使いながら様々な形を試していくか。
ニールセン監督は「ブラジルは非常にパワフルでリスクを取って攻めてくるし、1対1にも強い。対策が必要になるだろう。しかし、対戦相手にかかわらず、自分たちらしく勇敢に戦うことが重要。それができればワールドカップ(次回は2027年)のファイナルに行ったときでも、自分たちらしいプレーができる」と、あくまでも攻撃的に戦う姿勢を強調。完全アウェーの地で、なでしこは強豪ブラジルとどんな戦いを見せるのか。楽しみな2連戦だ。
(ABEMA/なでしこジャパン)




