神庭亮介氏が提言
【映像】「界王拳より元気玉」ってどういうこと?
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 年金改革法案をめぐり、自民、公明、立憲民主党の党首が会談を行い、基礎年金底上げに向けた措置を盛り込む修正を行うことで正式に合意をした。

【映像】「界王拳より元気玉」ってどういうこと?

 この合意を受け、ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介氏は「会社員はATMじゃない!」「アクセルとブレーキどっち?」「界王拳より元気玉」という3つの視点から疑問を投げかけた。

「1点目の『会社員はATMじゃない』は私自身、会社員として怒っている。年金は1階の基礎年金の上に2階の厚生年金がある。会社員が厚生年金のために払ってきた保険料を基礎年金に回すのは流用、目的外使用だ。底上げで99%の人が得をするという触れ込みだが、厚生年金には自己負担分以外に会社が払う事業主負担もあり、それも加味すると決して得とは言えない。また基礎年金は、未納や免除・猶予で保険料を払っていない人が半分もいる。厚生年金から流用する前に、まずこちらの徴収率を上げるのが先だろう」

「2点目の『アクセルとブレーキ、どっち?』というのは、2004年に導入されたマクロ経済スライドについてだ。難しい言葉だが、マクロ経済スライドというのは、現役世代の負担が青天井で増えないように一定の枠をはめるもの。物価や賃金の上昇に対して、年金額を抑えるための仕組みだ。そうやって相対的に年金を『目減り』させることを意図してやってきたのに、今になってやっぱり『底上げ』したいという。アクセルとブレーキを同時に踏むような話で『目減りさせたいのかい? 底上げしたいのかい? どっちなんだい?』と言いたい」

「3点目の『界王拳より元気玉』というのは、ドラゴンボールの必殺技の名前。界王拳を使うとパワーは出るが、体にものすごい負荷がかかる。日本の社会保障は、サラリーマン、会社員の人たちばかりが界王拳で体を酷使している状態。『体もってくれよ!』と叫びながら、無理して10倍、20倍の界王拳を使い続けている。一方の元気玉は『地球のみんな、オラに元気を分けてくれ』と元気を集めて使う技。『リーマン界王拳』頼みで、会社員だけが苦しむのは間違っている。広く薄く、様々な人に公平に負担してもらう元気玉が必要だ」

「これから氷河期世代の人たちが、低年金、無年金で大変なことになる。氷河期なんて見捨ててしまえ、と思っている人は多分そんなにいない。何かしら手を打たなければ、生活保護財政がパンクして、巡りめぐって税負担が増えるだけだ。問題はそのための財源。会社員の中にだって氷河期世代の人はいるわけで、『取りやすいから会社員から取る』ではダメだ。再分配をしたいのであれば、社会保険の枠組みではなく税でやるのが筋。政治家は小手先の合意でお茶を濁すのではなく、税負担による最低保障年金のあり方も含めて根本的な議論をしてほしい」

有権者はどこに目を凝らせば?
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