6月3日、プロレスリング・ノア『STAR NAVIGATION 2025』東京・後楽園ホール大会が行われた。

 メインイベントは今年元日から“OZAWA旋風”を巻き起こしている王者OZAWAのGHCヘビー級王座6度目の防衛戦。5.18後楽園でOZAWA率いるTEAM2000Xを裏切ったDDTの遠藤哲哉と、遠藤に更生を促し脱退に導いた杉浦貴を「サバイバル3WAYマッチ」で迎えうった。

 GHCヘビー級王座戦として初めて行われた「サバイバル3WAYマッチ」は、3人同時に闘い始め負けた者から脱落していくサバイバル戦。前回の後楽園で遠藤と杉浦は共闘関係を結んでおり、OZAWA自身が提示した試合とはいえ、王者にとっては圧倒的に不利な試合形式だ。

 案の定、試合序盤は遠藤と杉浦がふたりがかりで攻め立てOZAWAは防戦一方。遠藤が余裕で寝そべりながら顔に鼻くそをつけるなど、OZAWAのお株を奪う展開が続いた。

 ところが中盤、OZAWAが杉浦をレフェリーと衝突させ、リングがレフェリー不在の無法地帯となったところで事件が起こる。TEAM2000Xの面々がリングに雪崩込み遠藤を袋叩きにすると、杉浦が割って入りパイプイスを奪い取ると、救出せずに遠藤の脳天に一撃。杉浦はその場で自身のTシャツを着ると、その背中には骨が交差した「X」のマークが描かれており、TEAM2000Xへの電撃加入をアピールしたため場内は騒然となった。

 杉浦に裏切られた遠藤だが、ここから孤軍奮闘。スクールボーイで丸め込み杉浦を退場させOZAWAとの一騎打ちに持ち込むと、OZAWAの滞空時間の長いミサイルキックや串刺しドロップキックなどの猛攻を耐え抜き、さらにかつて失神に追い込まれたビンタをくらいながらも負けじとビンタで応戦。さらに顔面を舐めてきたOZAWAの舌をつかみそのままエクスプロイダーで投げ捨て、場外で暴れるTEAM2000Xの面々を遠藤スペシャル(サスケスペシャル)を蹴散らすと、NOAHの会場で大「遠藤」コールが巻き起こった。

 勝負をかけた遠藤は、ここでコーナー最上段からバーニングスタープレスを繰り出すが、OZAWAが膝で迎撃。これで流れが変わり、OZAWAは雪崩式スパニッシュフライからエクスタシーモードに入り、なんと遠藤の必殺技を盗みバーニングスタープレスを完璧に決めて見せた。

 これは遠藤が意地でカウント2で返すが、こうなるとOZAWAはもう止まらない。顔面を舐めてからハイアングルのドロップキック、ビッグベンエッジと畳み掛け、最後はやはりリアルレベル(ワンステップ式フェニックススプラッシュ)を決めて3カウント。またしても圧倒的なパフォーマンスでGHCヘビー級王座6度目の防衛に成功した。

 試合後、マイクを握ったOZAWAは「TEAM2000Xに新メンバー、“ゴッドファーザー”杉浦貴が入った。杉浦貴のチーム入りはもう(5•3)両国から決まっていたことなんだ。そもそも張り手1発で飛んじゃうしょっぱいレスラーはTEAM2000Xにはいらないんだよ。あいつを排除するために大嫌いな秋山準と手を組んで、あいつを誘導してくれた。ありがとう、ゴッドファーザー杉浦貴」と、妙に説得力あるエピソードを挟んで杉浦貴に感謝の言葉を述べた。

 そして遠藤に対しては、バックステージのコメントで「最初からおまえみたいなヤツはいらなかったんだ。おまえ、どこから来たんだっけ? DDT? ハッキリ言わせてもらうと、DDTとNOAHを横一線に見てもらったら困るんだよ」と、DDTファンやレスラーからも怒りを買いそうな禁断の棚橋フレーズを使って罵倒した。

 最後は「本日もこのプロレスリング・ノアを守ることができました。そして、これからもプロレスリング・ノアを泥舟にしようとする悪いヤツらを倒していきたいと思います。俺は正しい、俺は正義だ。今日からプロレスリング・ノアはプロレスリング・オザに改名します。ザ・リアルレベ~ル」と、殊勝ふうの身勝手なことを言って大会を締めたOZAWA。

 NOAH旗揚げメンバーの重鎮である“ゴッドファーザー”杉浦貴が加わり、さらに勢力を拡大したTEAM2000X。OZAWAの勢いは止まることを知らず、NOAHはこのまま本当にプロレスリング・オザとなってしまうのか。

文/堀江ガンツ
写真/プロレスリング・ノア