安本にとって今回は初防衛戦。”完全無欠のマスターピース”の異名どおり、2年をかけてのタイトル戴冠を経て、25歳にしてキャリアのピークを迎えている。一方、K-1からRISEへ、32歳のタフファイター國枝にとって千載一遇の好機は参戦2戦目で訪れた。100ラウンドを超えるスパーリングを重ねて臨んだ一戦で待っていたのは、受け入れがたくも、思わず笑みがこぼれる衝撃の展開だった。

 試合開始から安本が圧倒した。長身から正確な前蹴り、右カーフキックとミドルキックで國枝のバランスを崩す。國枝も勇気を持って前に出てロー、パンチと繰り出すが、安本がロー、ボディと着実に当てダメージを蓄積させて行く。

 1ラウンドが折り返しとなった1分30秒、安本は國枝のボディに左の三日月蹴りを深くめり込ませると、矢継ぎ早に左ハイ。あまりの速攻に耐えきれずダウンを喫した國枝は驚きのあまり苦笑いを浮かべ立ち上がる。しかし、試合再開後に再びボディに三日月、その三日月を警戒したところに今度は左ハイキックが飛んできた。「バコッ」という音とともに首が落ち、後ろに吹き飛ぶようにダウン。あまりの無双ぶりにファンからも「うまいなぁ」「差がありすぎる」「軌道が見えてない」と唖然とした声が上がった。

 立ち上がった國枝に対して、安本は攻撃の手を緩めず、左前蹴りからの流れで再び左ハイをヒットさせる。國枝がこのラウンド3度目のダウンを喫したところでレフェリーが試合を止めた。

あまりにも一方的なスリーダウン・ノックアウトとなり、同階級2位の相手に見せつけた圧倒的な実力差に「つえー、完全体ですね」と解説も絶叫。ファンからも「そんな何気なく出した蹴りで倒しちゃうのか」「全く試合になってない」「キックえぐいって」といった驚きの声が相次いだ。

 完勝で初防衛に成功した安本は「久しぶりにKO勝ちできて良かったです。このまま最強目指して突き進みます!」と説得力しかないコメント。試合会場の”後楽園ホール”を”幸楽苑ホール”とSNSで誤字を投稿した縁で獲得したスポンサーへの感謝を述べると、試合後には「幸楽苑たべよー」と投稿。試合後には食事券を配布するなど、ファンへのサービス精神も忘れなかった。

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