加藤順子氏
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 実はこの業者、無差別に突然やってきたわけではない。きっかけは母だった。渡邉さんと母は同じ病院の医師にかかっており、母が状況を相談したところ、医師がこの業者を母に斡旋、手配したことが後に判明する。

 引きこもり状態にある人は、全国に推計で約146万人いる。その中でも「8050問題」が生じており、介護を必要とする80歳超の親と数十年引きこもっている50代の子どもがいる家庭が増えており、親子ともに高齢化することから「9060問題」とまで言われるようになっている。母からすれば、自分の身に何かあってからでは遅いとの判断から「引き出し屋」のような業者に依頼するケースも見られるが、引き出し屋について取材するジャーナリスト・加藤順子氏は「人権侵害行為が支援の名の元に行われているということは明らか」と非難する。「無理やり連れていくこと自体が押し付けで、望まない生活をさせられること自体も押し付け」と語るが、親の心境として「子どもの将来を心配して、プロの支援者に任せた方がいいと思って信じて任せてしまう」ことから被害者が生まれる実態を紹介。「子どもにはいくらでもお金をかけてしまう傾向が見られる。親から受け継いだ遺産をそのまま業者に取られてしまった家庭もあるし、家を売ってまで子どもの自立に期待して業者にお金を入れてしまった人もいる」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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