■痴漢にあって体が硬直「声も出ないが頭の中はぐるぐる」
高校時代から10回ほど痴漢や盗撮の被害にあったアサミさん。うち3回は通学中の電車内だったという。「すごく混雑する電車で通学していて、特急が駅から駅まで10分ぐらい止まらなかった。周りが全部人になるようなぎゅうぎゅうの満員電車に乗った際に制服のスカートの上からお尻を撫でられ、本当に体が固まってしまった。頭の中ではどうしよう、どうしようと考えていたが何もできず、考えているうちに駅について、人に流されるように降りた経験がある」。他にもドラッグストアで買い物をしている際、棚の下側にある商品を取ろうとかがんだところ、スマホのカメラでスカートの中を撮影され「パッと立ち上がったら(相手が)走って逃げた」こともあった。
痴漢の被害にあった際には声を上げる、周囲に助けを求めるなどの対策は広く知られるところではあるが、実際に被害にあっている最中はそう簡単に行動はできないものだ。「体はもう本当に動かない。自分の体ではないような感じで固まってしまった。ただ頭の中は動いていて、本当に痴漢なのか当たっているだけなのか、でもこの触り方はやはりおかしいとか。強そうな男性で私より強いから怒られるかもしれないし、冤罪だと言われたら誰も助けてくれないかもしれない。『痴漢です』と言うこと自体、自分自身も恥ずかしくなってしまって、声は出ないが頭はぐるぐる考えて何もできないことがあった」と振り返った。
痴漢抑止活動センター代表の松永弥生氏は、被害者から数多くの声を聞いている。「痴漢抑止バッチというものを作っているが、この考案者の子は何度も声を上げたけど、誰も助けてくれなかったと言っていた」と、助けを求めたとしても救われなかったケースが多い現状を語る。ただし声を上げることの効果は認めており「警察に相談に行くと、大きな声で『この人、痴漢です!』と相手の手を掴んで言えと指導されるが、そんなに大きな声を出す必要はない。混んでいる電車は静かなので、隣にいる人に聞こえるぐらいのボリュームで『やめてください』『なんですか』と言うのがいい」と勧めていた。
■助けを求めるアプリ、電車内なら「しゃがむ」も有効
