RISEライト級王者で“人獣”の異名を持つ攻撃型ファイター・中村と、SB日本スーパーフェザー級王者で技巧派サウスポーの笠原による団体の威信をかけた対決。互いにサウスポー。序盤は一発が重い中村と、正確無比なコンビネーションの笠原という、対照的な立ち上がり。ラウンド終了のゴングと同時に、笠原の飛び膝が中村を捉え、中邑は右眉をカットするなど、有効打で早々にダメージを与える。
中村の目尻の流血の影響もあり、2ラウンド序盤はカウンターが巧みな笠原優位の展開が続くが、中村は距離を詰め、左ストレートや左カーフキックで反撃。最終3ラウンドは、接近戦でプレッシャーをかけ続ける中村の積極性が目立つ。
ラウンドを追うごとやや失速気味だった笠原も、左ストレートで相手を仰け反らせるが、後半は中村が強い圧力で相手をグラつかせ、互いに決定打がないまま29-30(笠原)、29-29、29-29の判定で勝負は延長戦へと突入した。
延長ラウンド、開始直後に中村がローブローを受けるアクシデントもすぐに復帰。笠原が膝とロー、ボディと猛攻を仕掛ける。中村の表情からも疲労が窺えるが、一心不乱に距離を詰める。
すると開始1分過ぎ、ハイプレスから中村がハイキック→パンチの連打。笠原の蹴りを受けながらも、さらに左ストレートを強振。これがカウンター気味に笠原を捉え、バランスを崩させる。
中村は攻撃の手を緩めず、ロープ際で左フックを叩き込み、笠原がダウン。再開後、笠原は打ち合いに応じる姿勢を見せるが、中村は一気呵成に畳みかけ、右フックでさらに追い詰めると、最後は渾身の左ハイキック。笠原をなぎ倒しKO。レフェリーが即座に試合をストップした。
本戦3ラウンドでは笠原の技巧がわずかに上回る展開も、中村の勝負強さと爆発力で逆転勝利。愚直なプレッシャーから相手を破壊するスタイルで、スローリプレイでも渾身の左ハイが笠原の側頭部を刈る壮絶なシーンに、ファンからは「最後のハイえぐいな」「獣すぎる」「名勝負製造機だ」「中村の底力すごいな」といった声が上がった。一方で正面から打ち合い敗れた笠原にも、「打ち合って白黒つけた」「笠原選手の方が上手かったが中村が強かった」「素晴らしい試合だった」と称賛の声が相次いだ。
決勝に進出した中村は「一個前に生ぬるい試合をしていた中国人(エン・ペンジェー)をボッコボコにします」と優勝宣言。さらには「僕が世界一を獲ったら、ONEの主力メンバー俺が壊しに行くんで」と、プロモーション代表間で舌戦が続く「ONE Championship」にも噛み付いた。
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