■「婚約」の法的効力は?しなくてもOK?

鈴木さん
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 婚約破棄する側の理由として、正当なものには「借金」「相手の浮気などの不貞」「DVやモラハラ」「過去の犯罪歴」「重度の精神、身体障害に陥った」などがある。グレーなものとしては「親からの反対」「親族との不和」「信仰の相違」などが存在し、不当なものには「性格の不一致や価値観の相違」「差別」などがある。

 経済学者で慶應大名誉教授の竹中平蔵氏は、「民法上は“結婚”は個人の契約であり、家族の話は出てこない。婚約は民法に盛り込まれておらず、判例が積み上がっているわけでもない」と説明しつつ、「離婚が少なかった時代と、いまでは意味合いが変わってきている」と指摘する。「婚約が『結婚に向けた準備期間』から、『本当に結婚するのがいいか確かめる時間』になってきている。ただ、結婚は個人のものだが、現実的には結婚式や結納は“家の考え方”がついて回っている」。

 神楽坂中央法律事務所の山口政貴弁護士は、「結婚には“婚姻届”があるが、婚約にはない。婚約指輪のプレゼントや結納、両家顔合わせなどを積み重ねて、『単なる交際ではなく、結婚に向けた約束だ』となれば、婚約として評価できる。本人たちが『結婚しよう』と話しているのは1要素に過ぎない」と説明する。

 また、竹中氏の意見を受けて、「結婚後に離婚するのは、金銭的にも時間的にも、精神的にもエネルギーがいる。だとすれば、『結婚するか見定める期間』と位置づけて、破棄するなら破棄した方が幸せだ」と話す。「一番恋愛が盛り上がる婚約時に、別れることを想定している人はいない。それでも結婚を考えるなら、価値観や親との関係については、事前にある程度把握しておいた方がいい」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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