
大きく議席を伸ばした参政党。この「オレンジ旋風」の正体とは。
“オレンジ旋風”その正体は

大阪選挙区で当選
参政党 宮出ちさと氏(40)
「いくで、やるで、宮出!」
その勢いは本物でした。“オレンジ旋風”を巻き起こした参政党。

東京選挙区で当選
参政党 さや氏(43)
「みなさんが毎日ポスターを貼って、ビラを配って、たくさんの友達に伝えてくれて。どんな愚かな妨害が起ころうとも、惑わされることなく参政党を支持してくれた。本当にありがとうございます。みなさんが大好きです」
“オレンジ旋風”の「正体」は一体何なのでしょうか…?

政治アナリスト 伊藤惇夫氏
「(有権者が)納得してしまっている部分はある。ある種の社会現象に近いものがあるような気がする」
参議院選挙で「日本人ファースト」を掲げて戦った、参政党。激戦の東京選挙区でさや氏が2位当選を果たすなど、「台風の目」となりました。

他にも、愛知・大阪・福岡など都市部を中心に、選挙区で7議席、比例代表で7議席の、合わせて14議席を獲得。これで参政党の参議院での議席数は非改選の1議席と合わせ、15議席となり単独で法案を提出できる11議席を超えました。

参政党 神谷宗幣代表(47)
「たくさん議席をいただけるということはありがたい半面、責任も重くなる。そしてこれから色々なトラブルが起きるだろうと思っている」
海外メディアも、参政党に注目しています。お隣韓国では…。
韓国の主要紙、朝鮮日報は「反外国人、日本人ファースト突風」と見出しをつけ、参政党の躍進を自民党が計算できていなかったと分析しています。
中国でも、環球時報が参政党の躍進に注目していて、「排外主義の声が台頭してきている」と懸念を示しています。

参政党に対し、海外メディアの多くが使う表現が「極右」「排外主義」などです。
ロイター通信
「極右政党・参政党は、移民への警告や、減税・福祉支出の公約で支持を集め、参院選で最大の勝利を収めた政党の1つとなった」
イギリス「BBC」
「移民に関する制限強化、グローバリズムに反対、急激なジェンダー政策に反対。この小政党の移民排斥的な言論が支持を集めている」
参政党の議席 なぜ“大幅増”?

神谷氏(当時33) 2011年
「カリキュラムだけを作って、それで育てるんだという教育。おしつけ教育」
代表・神谷氏の政治家としてのキャリアは29歳の時、大阪府吹田市の市議会議員から始まります。

自民党 安倍晋三総裁(当時) 2012年
「この神谷宗幣に勇気と、そして力を与えてください」
2012年には、自民党から公認を受け衆議院選挙に立候補しましたが、あえなく落選。その後、政治や歴史、経済をテーマにしたネット番組を開設し、そこで築いた人脈などから2020年に結成されたのが「参政党」です。
支持者は、参政党の躍進をどう見ているのでしょうか?
街の人
「一貫してぶれてなくて。日本を変えなきゃいけないという大人が増えてよかった」
「ここは日本だし(外国人で)治安が悪くなってるのを感じるので、その言葉を言ってくれたことが刺さった」
一方で…。
「自分は日本人ファーストとか、あのあたりの考え方が分からない。心配というか不安」
「自分の会社でも外国人の人が働いてくれないと回らない。一緒にやっていかないと無理だと、みんな分かっていると思う」
その存在を不安視する人もいるなかで、では、なぜ今回、参政党は議席を大幅に増やせたのでしょうか?
専門家が大きな要因に挙げたのは、参政党が積極的に取り上げた「外国人問題」です。

伊藤氏
「物価高や国民の負担率の上昇のなかで、将来や現在の生活に不安を抱いている人たちが、問題が起きた背景に『外国人の問題がある』と言われると、納得してしまう部分があると思う。実態は必ずしもそうではないけれど、多くの人ができれば将来の不安を解消してほしい、具体的な手を打ってほしいと思っているところに“外国人問題”がはまったのかなと」
この“うねり”は、世界的なものだといいます。
「ヨーロッパはさまざまな国で移民の排斥を主張する政党が勢力を伸ばしている。アメリカもトランプ大統領は移民に厳しい。その部分は世界的な潮流なのかもしれない。それが日本に流れ込んだのは否定できない」
引き続き、「真偽の見極めが重要になってくる」と警鐘を鳴らす、伊藤氏。参政党は今後、どのような動きを見せるのでしょうか?
参政党 さや氏
「アンチの皆さんたちが新しいプラカードを作れるように、使いまわしじゃなく新品をそろえられるくらいの経済力をまずは立て直しましょう」
大敗の石破総理が続投表明
一方、石破茂総理大臣は改めて「続投」を表明。

石破総理
「(Q.衆院に続いて参院でも過半数割れ。総理が国民から信任を得られなかった?総理を続投する考えは正しい考えと思っているか?)アメリカとの関税措置にどのようにして対応していくか、喫緊の課題がたくさんございます。今最も大切なことは、国政に停滞を招かないということ」
衆参両院で過半数割れの少数与党に転落。

立憲民主党 野田佳彦代表
「ダラダラとした政治をいつまで続ける気なのかと。続投の意思の表明というには説得力があまりにもなさすぎると。石破政権とは厳しく対峙(たいじ)していかなければいけない」
自民党は改選前から13議席減らしたものの、石破総理は続投を表明し、森山幹事長ら執行部の体制も維持する方針です。負けた責任をとる人がいない異例の状況です。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「ちょっと驚きましたね。誰も責任をとらないということなので。これからの自民党内・与党内政局を注意深く見守りたいなと思う」
18年前の発言ブーメラン?
過去、自民党が参議院選挙で大敗したケースでは、当時の宇野総理や橋本総理は ほどなく退陣を表明。第1次安倍政権では 続投が決まったものの、退陣を求める声が相次ぎました。

石破衆院議員(当時50) 2007年
「責任は総理にあるのですよ。その総理が責任をお取りにならない、責任の所在がうやむやになってしまう。それは今回の民意と大きくかけ離れたものじゃないか」
あれから18年、自ら発した言葉がブーメランのように飛んできています。
自民党 落選 佐藤正久幹事長代理
「トップが責任をとるというのが組織の常道だと思いますので」
自民党 当選 西田昌司参院議員
「党の総裁としての責任をはっきりさせていただかなければ、これ(落選した人)は泣くに泣けない」
現在、党の最高顧問を務める麻生元総理が「石破総理の続投は許されない」と周囲に話すなど、退陣包囲網が敷かれつつあるとの見方も…。
自民党 中堅議員
「この負け方で続投はあり得ない。衆院選、都議選、参院選と3回連続(敗北)で民意が示された。辞めるのがスジだ」
その一方でこんな声も。
自民党 若手議員
「今は変えられない。関税交渉もあるし、8月6日(広島の式典)や9日(長崎の式典)もある。お盆までは変えられない。辞めることは前提だけど、一定道筋をつけてからというほうがいいんだろう」
衆参両院で少数与党となっても、総理周辺は強気の姿勢を見せています。
総理周辺
「参院選の結果は思ったより悪くない。続投表明は賭けだけど先に政局を仕掛けたということ。関税交渉の協議があるなかですぐ辞める選択肢はない」

8回目となる閣僚級交渉に臨むためアメリカに向かった赤沢大臣。相互関税の上乗せ分が発動される8月1日を念頭に着地点を探る交渉を続けます。
大阪選挙区 議席ゼロ
自民党(大阪府連会長) 青山繁晴参院議員
「主権者から否認された政権が、どうやって日本国益を代表してトランプ政権という強力な政権と交渉するんですか。お辞めになるべきです」
所属議員の3分の1以上の要求があれば、両院議員総会を開いて退陣を求めることができるなか、石破おろしは活発化するのでしょうか。