
衆参両院で与党が過半数割れとなり、各党はどう動いていくのでしょうか。過去を振り返ると、参院選で与党が敗北するたびに日本の政治は激変してきました。
【画像】【報ステ解説】参院選で大敗も「続投表明」“いばらの道”を進む石破総理の胸中は
石破総理“続投表明”に野党は…
続投を表明した石破総理。クエスチョンマークは野党からも。

立憲民主党 野田佳彦代表
「衆院選、都議選と敗れて、参院選で敗れたことについての意味合いがまだよく分かっていないのではないか。漫然と“政権を続けさせてほしい”というイメージとしか私は受け取れなかったという意味で極めて残念だった」
選挙で追い込んだものの、即、不信任案提出とはならないようです。

立憲民主党 野田佳彦代表
(Q.不信任を出すならば8月か。もしくは秋の臨時国会を目指すのか)
「まだ不信任がどうのと予断をもって答える段階ではない。私がどうのって話ではなくて、それぞれが出処進退を決めること。私が言う話ではない」

れいわ新選組 山本太郎代表
「続投するということで。続投しないなら代わりに誰がなるのかと。誰が濃厚なんですか?皆さんの方が情報をご存じですよね」
様子見ということなのかもしれません。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「民間企業でいえば衆院選、都議選、参院選と3つ連続で負けることは3期連続で赤字みたいなもの。その時に誰一人責任を取らないのは普通はあり得ない。これからの自民党内、与党内政局を注意深く見守りたい」
参院選で“地殻変動”の歴史
参院選は自民党にとって鬼門に他なりません。敗北によって政局・再編に突入してきた歴史があるからです。例えば1989年の参院選。

宇野宗佑総理大臣(当時)
「私は総理総裁を辞任することを決意し、その責任を明確に致します。明鏡止水の心境でございます」
社会党 土井たか子委員長(当時)
「山は動いてきた」
リクルート事件や女性問題で、自民党は参議院での単独過半数を失いました。その結果、社会党の大躍進となり、後の日本新党の誕生。自民党初めての下野につながる最初の1歩でした。
次は1998年の参院選。

橋本龍太郎総理大臣(当時)
「今回の参議院選の敗北の責任、これは私一身のことです。自民党総裁辞任の意思をお伝えし、役員会の了承をいただいた」

消費税5%や景気低迷で自民党惨敗。これを機に今の自公政権に至るまで連立の枠組みは目まぐるしく変わり続けていきます。この時、代わりに野党で存在感を見せたのが、結党したばかりの民主党でした。生まれた火種は2007年の参院選で、第1次安倍政権を歴史的な大惨敗に追い込み、民主党政権誕生のきっかけとなりました。

安倍晋三総理大臣(当時)
「私が総理であることによって、野党の党首との話し合いも難しい状況が生まれています。本日、総理の職を辞するべきと決意を致しました」
その民主党も参院選で負けたことで衆参のねじれが生じ、3年3カ月という短命に終わりました。
連立拡大・野党連合の実現性は…
参院選によって起きてきた地殻変動。どことどこがどう組むのかで、この先の永田町は大きく変わります。ただ、その絵は誰も描けていません。

石破茂総理大臣
(Q.連立の枠組みを拡大する考えは)
「現時点で連立の枠組みを拡大する考えを持っているわけではありません。他党のご都合、色んな事情もあること」
野党も一定の距離を保とうとしています。

参政党 神谷宗幣代表
「『今後の連携どうしますか?』と『与党ですか?野党ですか?』みたいな話を聞かれますが、皆さんもう少し待って下さい。衆参合わせて50議席。政権や野党の他党と組んで国の法律や予算を作っていくところに手が届くと考えています」

国民民主党 玉木雄一郎代表
(Q.政権側から呼び掛けがあった場合は)
「中身をよく聞いてみたい。もちろん石破政権にも政策実現を求めていくが、聞く耳を持って頂けないのであれば、与野党関係なく協力を頂いて、過半数を取って実現につなげていきたい」
では野党連携はどうでしょうか。現状は『オリーブの木』で一致団結とはいかなさそうです。

日本維新の会 吉村洋文代表
「野党でそういう動きが出るのかどうかも難しいのではないか。数は確かに足し算したらそうかもしれないけれど、共産党であったり憲法的な価値観が全く違うところ同士で成り立つのか」

共産党 田村智子委員長
「国民民主党や維新の会は、先の通常国会でも自民党政治の延命に手を貸す役割を大事な場面で果たしてきた。自民党と対決をして政治を変えるのか、自民党と今は手をつないで助ける勢力になるのか問われてくる。国会の中の野党連携の話だけではない」
大敗でも「続投」総理の胸中は?
政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.最新情報を伝えてください)
政治部官邸キャップ 千々岩森生記者
「赤坂の議員宿舎で21日夜、去年9月の総裁選に出馬した林官房長官に近い議員らが集まって意見交換をしたとみられています。22日以降も各グループの会合が予定されているようです」

(Q.党内から退陣を求める声も上がる中、石破総理は続投を表明。総理の胸中はどこにありますか)
政治部官邸キャップ 千々岩森生記者
「選挙戦の最中、心中はかなり揺れていたようです。取材すると、選挙戦の終盤、周辺に対して、もし過半数を割った場合、自分が辞任しないと『地位にしがみつくなと批判される』と事実上、辞意をほのめかすような場面もありました。じゃあなぜ続投かというと、21日の会見でもありましたが、一番はトランプ関税のようです。8月1日の期限のギリギリまで合意を探りたいと。辞任を発表してしまうと、その瞬間、アメリカが相手にしなくなる、チャンスを失うわけで、側近の1人は『ずっと総理を続けるのではない。関税のめどが立つまでだ』という趣旨の説明をしています。続投を明言しましたが、早ければ関税の期限の後、お盆前後にも改めて進退を発表する可能性もあるのではないかとみています」
“石破おろし”党内から反発は
藤川みな代政治部長に聞きます。

(Q.石破総理は続投したとしても、まさにいばらの道ですね)
藤川みな代政治部長
「なかなか難しいです。党内には一部、続投を容認する人たちもいますが、それも辞めることを前提としています。『すぐ辞める』か『道筋をつけてから辞める』かの違いで、“石破おろし”に向けた具体的な動きは止まらない状況になっていると思います。その1つとして、総裁選を前倒しするために『両院議員総会』の開催を要求する署名集めなどの動きが考えられます」
『両院議員総会』とは、自民党に所属する議員の3分の1以上からの要求で開催することができます。そこで出席者の過半数の賛成を得られれば、総裁選の前倒しも可能になります。一方で、自民党執行部は両院議員懇談会を31日に開催し、党内の意見を聞く考えですが、この両院議員懇談会は両院議員総会のような議決権はありません。

(Q.両院議員懇談会で石破総理の進退論を封じ込めるのは簡単ではないと思いますが)
藤川みな代政治部長
「すでに党内からは『ガス抜きで済ませようとしている』と反発の声が出ています。議決権がない会議で、話を聞くだけで済ませられるかは見通せない状況です。そしてもう1つの動きとして考えられるのは、人事です。政権が弱体化すると“泥ぶね”と言われて、ポストを引き受けることをためらう人が出てきます。そういう時に、党役員の人事や内閣改造に協力をしないことで、石破総理を手詰まりに追い込んでいくことも考えられます」

(Q.衆議院に続き参議院でも少数与党になりました。国会運営はますます厳しくなりますね)
藤川みな代政治部長
「そうですね。早速8月1日召集で調整されている臨時国会がどうなるのか。通常、参院選が終わった直後の臨時国会は、議長や委員長ポストなどの調整事で5日間程度と短期間で終わります。ただ、少数与党なので、与野党の調整が難しくなる可能性があります。また、野党側は通常国会で廃案になった『ガソリン減税法案』などの審議・採決を求めて、会期が長くなる可能性もあります」

(Q.臨時国会で、野党側が不信任案を出す可能性はありますか)
藤川みな代政治部長
「可能性は低いとみています。不信任の提出に必要な51議席を持っているのは立憲民主党だけですが、トランプ政権との関税協議が続いている中で、立憲からはこの交渉は『誰がやっても大けがをする』と尻込みする声が出ています。ただ、他の野党から突き上げられることになるかもしれません」

(Q.連立の枠組みが変わる可能性はありますか)
藤川みな代政治部長
「野党各党の党首は連立への参加を否定しています。野党にとって、衆参2回の選挙で国民からNOを突き付けられた自民党と組むメリットはほとんどありません。むしろ組んだ場合、他の野党から攻撃されたり、支持者から批判されるリスクの方が高いとみられます。そうなると、自民党は連立の枠組みを拡大できないまま、通常国会で行ったような、政策ごとに与野党協議をするやり方を迫られることになります。ただ、自民党内からは『苦しい調整をしても自民党の評価につながらない』『連携はもうできない』という声も上がっています。それどころか『1回、下野した方がいい』『野党にやらせてみたらいい』という諦めの声も出ています」

(Q.自民党が厳しい中で“ポスト石破”は登場しますか)
藤川みな代政治部長
「今、自民党の中で言われているのは、2つのタイプの人材です。もう1度、自民党に保守層を取り戻せるような人が良いのではないかという声と、連立拡大の可能性を探るために野党から嫌われない人が良いのではないかという見方が出ています」