日本高野連は1日に理事会を開催し、来年春に行われる第98回選抜高校野球大会から指名打者(DH)制を導入することを決定した。DHは攻撃時に投手に代わって打撃専門の打者がプレーすることで、投手は打者・走者としての負担が軽減される。また守備が苦手でも打撃は得意という選手にも出場機会が増えるなど、選手の個性を生かした戦い方ができると期待されている。前浦和学院野球部監督で現副校長の森士氏は、今回の決定について「健康管理が一番の目的」「地方大会で格差が広がるかもしれない」といった見解を示した。
指導者の間でも賛否両論分かれることが予想される今回のDH制導入だが、森氏自身は「浦和学院の野球部監督であれば賛成派」だという。理由としては「部員が1人でも多く、試合出場の機会に恵まれる。チーム構成から考えても、DH制は非常にありがたい」とした。ただし、選手層の厚いチームであれば特徴を生かした選手起用ともなるが、一方で層の薄いチームであればDH制を使う余裕もない。「地方大会を考えると、格差が広がっていく傾向になるかもしれない」と危惧した。
高校野球レベルであれば、投手をこなせる選手だと打者としても優秀であるケースも多い。「そこは監督の選手起用次第。打力が高い打者はそのまま打席に入ると思う。育成面を考えると、投手で打力がいい選手でも(打者としての)育成機会が少なくなる懸念もある」とした。打力がある投手であっても、より打力がある打者がいれば、投手は打撃をせずに投手としての練習に専念することになるが、高校野球の段階でそこまで特化することが、選手としての将来を考えた上でマイナスに働く可能性があるという指導者としての意見だ。「高校野球では投手がバントの練習に時間を費やすことが非常に多かったが、それがめっきり減るのでは」とも述べた。
作戦面での変化は?
