CNNによるとこの夏、地球の自転の速度が速くなり、1日の時間がわずかに短くなったことが、科学者や時間の管理を行う人たちからの注目を集めているというが、自転の速さの変化による時間のズレを調整する作業について、天文学者で太陽系天文学の研究を行う国立天文台天文情報センター副センター長・天文保持室長の布施哲治氏に聞いた。
2015年に「うるう秒」が挿入された。そもそも「うるう秒」とはなにか。
「時間は現在、世界各国が持っている原子時計、400台以上で作っている。世界で協力して時刻を作っているが、地球の自転がゆっくりになっている。原子時計は、非常に正確に時を刻んでいる。そうすると、差ができてしまう。その差を埋めるのがうるう秒」(布施氏、以下同)
うるう秒は「2035年までに廃止する」と、国連の専門機関が決議した。なぜ廃止になるのか。
「地球の自転と時計を合わせることが大事だとは思っているが、作業が非常に難しい。普段やらないようなことをやるので、その機械がうるう秒に対応しているかどうかわからない。対応していたとしても、うまく入れられるかどうかわからない。実際、過去27回うるう秒を入れているが、うまくいかなかったところもある。日常生活で1秒は小さく感じるが、例えば為替などの世界で1秒は非常に重要になってくる。ただ、自転が速くなっているので、引かなきゃいけなくなるのではないかということで最近注目されている」
「うるう秒をマイナスにする」というのはどういうことなのか。
「これは地球の自転が速くなっている結果として、地球の自転と正確に時を刻む原子時計が作る時刻、その差を埋めるために1秒抜かなきゃいけないことが起こるかもしれない。ただ、足すことですらうまくいかなかったことがあったので、やったことがないことをやるのかどうかは、世界各国でしっかりと議論・準備をして、実施するのであれば心構えが必要」
(『ABEMAヒルズ』より)
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