■14日以降の受精卵はNG、その理由は

三嶋雄太氏
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 もともとこの研究は、精子や卵子に生じる様々な問題について何が起きているか、遺伝子情報を持ったまま検証できることに大きなメリットがある。不妊症の理由であったり、高齢になると卵子や精子に何が起きるかなども、より研究がしやすくなる。

 今回の方針では「14日までの受精卵」と限定した。その理由は生命倫理と向き合うためだ。14日の理由について三嶋氏は「細胞は分裂して2個、4個と増えていく。ただし14日より後は、もう双子にならないと言われている。つまり『個』としての発生、特徴的な現象が起こるのが14日だ」と語った。

 さらにマウスでは実際に子ども、さらに次世代まで生ませることが成功したとしても、いざ人では安易に進められない。「早急にやると非常に危ないことかもしれない。科学的合理性という意味でも、わからないことがいっぱいある。技術的にはできるかもしれないとチャレンジはできるが、犠牲も生まれる。iPS細胞で作った卵子、精子が完全に機能するかもわからない」と、慎重に進めるべきだと警鐘を鳴らす。

 さらに社会的妥当性についても同様だ。「病気などでこのまま治さなければ死んでしまう人の処置に、このようなテクノロジーを使わなければいけないとなれば妥当性があると思われるが、起こり得るリスクを予測できないのに、単なる欲求に応えていいものなのか」とも述べた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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