戦後のベビーブーム(1947〜1949年)による人口が多い層を指す、「団塊世代」。その後も、「新人類」や「バブル」「ゆとり」など様々な世代が生まれ、1990年代半ばから2010年代前半に生まれた人たちを指す「Z世代」は、今の若者を象徴する表現になった。
しかし、この多様性の時代に“世代でくくる意味”はどこにあるのか。『ABEMA Prime』で考えた。
■世代でくくる意義「レッテル貼りの道具ではない」「思考停止になる」
人材研究所所属の人事コンサルタント・安藤健氏は、世代でくくる意義は「ある」との考えだ。「みんな違うから」と言ってしまえば人に対する理解・対応が難しくなること、バブルや震災など共通で経験したことは世代ごとの価値観に影響を与える、とみている。
「前提は、世代論はレッテル貼りの道具ではないこと。対立や分断を生むような文脈で使われがちだが、データに従わない印象論で使われるのはおかしいと考えている。同じ時代に生まれた人たちは、コロナで修学旅行や文化祭がなくなったなど共通の経験はしていて、それによる大きな価値観の変動はあるのではないか。それを踏まえた上で、目の前の人をきちんと見るということで、“予備的な仮説情報”と呼んでいる」
一方、マーケティング会社経営・広告戦略家の森浩昭氏は、世代でくくることに懐疑的だ。「“自分たちと違う”と言うためだけに世代論を使っている人が多いと思う。誰かが作ったラベルで、“自分がいかに違いを理解しているか”を言っているに過ぎないと、その瞬間に思考停止してしまう」と指摘。
また、「アメリカはいろいろな文化が縦に割れていて、それを15年など一定の単位で、ZやY、Xなどに切っていくとマトリックスになる。その中で一つひとつのものを見ていこうとするし、アメリカ史やメディア史の中に位置付けていくということがある。そういう意味の“権威”と、自分がいかに違いを理解しているかという“スタンス”を取ることは大きく違う」との認識を示した。
ライター・Podcasterの速水健朗氏は、自身が“就職氷河期世代”だとした上で、「マーケティング的にメディアが作った世代として、“この世代は恵まれていないんだ”と声を大きく言い過ぎた。問題が解決されてこなかった背景もあるが、“また同じことを言ってるよ”と若い世代からは煙たがられている。これはZ世代も同じことが繰り返される可能性がある」と警鐘を鳴らした。
■Z世代は悪口を言われがち? Z世代内で“15歳の幅”も

