■国内で高額2作品が贋作認定
日本で2点、贋作が見つかったベルトラッキ氏。2010年には詐欺容疑で逮捕され、懲役6年となったが、現在はオリジナル画家として活動を続けている。その贋作は特徴的で、一般的には実在する作品を模写するが、ベルトラッキ氏は作者の歴史を研究し、模写ではなくタッチなどを模倣してオリジナルとして制作する。つまり、これを真作だと信じれば「過去に作られたが未発見だった作品」ということになる。「少女と白鳥」で贋作被害にあった高知県立美術館の奥野克仁さんは「『クリスティーズ』という世界最大のオークションハウスで競売にかけられたもの。(作者の)研究の第一人者に『長らく行方不明になっていた作品です。間違いなく本物です』と言われてしまうと、我々としては全く疑いようがない」という。
「少女と白鳥」「自転車乗り」が贋作だとわかったのも、きっかけはベルトラッキ氏本人によるもの。2024年7月、今から10年前にアメリカの報道番組でベルトラッキ氏の作品リストが公開されており、その中に2作品が掲載されていたことが発覚。2025年3月にあらためて調査を進めたところ、贋作だと認定された。「少女と白鳥」に関しては、制作されたとされる当時、一般的ではなかった材料が使用された可能性が高かったこと、作品裏に自作したとされる偽の来歴ラベルが貼られていたことなどが、主な認定理由だ。
■天才贋作師と直接対面した当事者「テクニックは素晴らしいが彼は詐欺師」
