『チ。 ―地球の運動について―』は「地動説」をテーマにしたTVアニメです。原作は魚豊(うおと)氏によるマンガで、2020年9月〜2022年4月まで「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載されていました。
『チ。』に登場するノヴァクは、地動説を研究する者に対しては残酷なことを平気で行う異端審問官の男性です。この記事では、ノヴァクのプロフィールや声優情報をまとめました。
目次
- アニメ『チ。』のストーリーと作品概要
- アニメ『チ。』のノヴァクの基本情報
- ノヴァクの声優は津田健次郎さん
- アニメ『チ。』ノヴァクの娘は誰?手袋が鍵に?
- アニメ『チ。』ノヴァクは死亡する?最後はどうなった?
- ノヴァクの印象的なセリフ・名シーンは?
- ノヴァクは実在の人物がモデル?
- アニメ『チ。』ノヴァクのまとめ
アニメ『チ。』のストーリーと作品概要
15世紀のヨーロッパ某国にて、飛び級で大学進学を認められた神童・ラファウは、学者のフベルトと出会います。フベルトは異端な研究をしていたことが原因で投獄されていましたが、改心したフリをして釈放されました。
フベルトが研究していたのは、地球が自転や公転をしているという仮説・地動説。大学進学を機に好きだった天文の勉強を諦めようとしていたラファウは、フベルトとの出会いを機に胸の内に秘めていた天文学への想いを膨らませて、禁忌である地動説を研究していきます。
同名漫画が原作で、テレビアニメは2024年10月〜2025年3月まで放送されました。アニメのオープニング主題歌はサカナクションの「怪獣」。エンディング主題歌は15話まではヨルシカの「アポリア」、16話以降はヨルシカの「へび」です。
アニメ『チ。』のノヴァクの基本情報
アニメ『チ。』に登場するノヴァクは、異端思想を持った人物を処罰する異端審問官をしている男性。仕事であれば残酷なことも平気で行う人物で、躊躇なく異端者の爪を剥がしたり拷問を行います。
『チ。』は全4章の物語で、各章ごとに主人公が異なります。ノヴァクの初登場はアニメ1話(1章)。メインキャラクターの中では唯一、1章から3章まで登場します。容姿に関しては、章が進むごとに髪の毛とヒゲが伸びているなど変化が見られます。
異端者以外には優しい一面もあり、アニメ第2話では道端で子供が泣いていたら無視できないと言って、木に引っかかったボールを取って子供に渡すシーンがありました。しかしながら、その子供の父親が異端者だったため、父親を拷問して血だらけにしています。
本来、異端審問官は聖職者なので独身ですが、ノヴァクは元傭兵で出家せずに職務についているため、妻と娘がいます。娘思いで、娘からもらった手紙をいつも持ち歩いています。
ノヴァクは我が子への愛が自分が生きる理由とのことで、娘にはツラい思いをしてほしくないため、地動説のようなこの世の平穏を乱す研究は見過ごせないと話しました。家族や友人の日々の信仰や生活を守るためなら、なんでもすると決めています。
1章では元異端者・フベルトが改心した後の動向をラファウの家に聞き取りにきた際、ノートに書かれていた地動説の図を見つけて、ラファウが異端研究していることを疑いました。その後ノヴァクに捕まったラファウは拷問されるはずでしたが、拷問の前日に自殺を図ります。
ノヴァクの声優は津田健次郎さん
アニメ『チ。』でノヴァクの声を演じるのは、大阪府出身の声優・津田健次郎(つだ けんじろう)さん。津田さんは声優としての活動だけでなく、舞台やドラマ出演、映像作品の監督・脚本も務めるなど幅広く活動しています。
その年度で最も印象に残る声優や作品を対象にその業績を称える「声優アワード」(2020年度)で主演男優賞を受賞。NHK朝の連続テレビ小説『エール』では、声で物語の解説をする「語り」を担当したほか、犬井役として顔出しでも出演しました。
津田さんの代表作としては、『遊戯王デュエルモンスターズ』海馬瀬人役、『呪術廻戦』七海建人役、『チェンソーマン』岸辺役などがあります。
自身が演じるノヴァクの印象について、「なんとも魅力的な悪役」「この物語世界における冷徹な正義の執行代理人であり、子煩悩な家庭人」とコメント。また「強い意志で任務を遂行しながらも、根源的な問いや世界の常識の変革に翻弄される脆弱さも持つ個性は、演じていて楽しいです」と綴っています。
アニメ『チ。』ノヴァクの娘は誰?手袋が鍵に?
ノヴァクは結婚していて、娘がいます。ノヴァクの娘は『チ。』2章の主要キャラクターであるヨレンタです。
1章では4歳の娘がいると明かされていましたが登場はせず、2章でヨレンタが初登場しました。2章のヨレンタは天文研究所で働いていて、優秀ですが女性という理由で研究員としては扱われず、雑用を命じられています。
ヨレンタとは?
ヨレンタは天文研究所で働く、14歳の女の子です。論文を書くこともあるものの、女性のため論文は読んでもらえず、研究員のコルベがヨレンタの論文を自分の名前に変更して提出していました。ヨレンタは街の掲示板に掲載されていた天文に関する問題に回答したことで、代闘士・オクジーと修道士・バデーニと出会い、地動説の研究に協力することになります。
父親のノヴァクとも敬語で話すなど、礼儀正しい女の子です。ヨレンタが使っている手袋は、ノヴァクからプレゼントされたものでした。ヨレンタは2章から25年が経過した3章でも登場し、異端者達を解放している異端解放戦線の組織長になっています。
ヨレンタに気付いた理由は手袋?
ノヴァクは異端解放戦線の組織長が自爆する瞬間を見ていましたが、爆死した組織長がヨレンタだと気づいたかは不明です。しかしながら、爆発で千切れたヨレンタの腕を拾って持っていました。
ドゥラカに刺されて瀕死になったノヴァクは、ヨレンタの腕をヨレンタが使っていた手袋に入れて「そうか…お前も見つけたんだな……。その為に…地獄に堕ちてもいいと思えるものを…」と発言。手袋に入った手を見て、ヨレンタだと確信した可能性がありそうです。
妻の名前は?
ノヴァクの妻の姿や名前は劇中では描かれませんでした。
原作コミックス3巻第14話では、ヨレンタが帰省したシーンで「まぁ! おかえりヨレンタ!」とノヴァクの妻だと思われる人物のセリフがあります。その後、ノヴァクがヨレンタに向かって「母さんはもう寝るって」と話すシーンもありました。なお、このエピソードはアニメ第7話に該当しますが、アニメではどちらのセリフもカットされています。
アニメ『チ。』ノヴァクは死亡する?最後はどうなった?
ノヴァクは3章の最後で死亡しました。
1章〜3章に登場した主人公達の死のほとんどに、ノヴァクが関わっています。1章のラファウは、ノヴァクに捕まった後に自殺。2章ではオクジーとバデーニを捕らえて拷問した後に、首を吊らせました。3章ではノヴァクがドゥラカの脇腹を短剣で刺して、ドゥラカは逃走しますが刺された傷が致命傷となって死亡します。
ノヴァクは地動説を唱える人物を拷問したり殺してきましたが、3章終盤でアントニ司教から地動説を唱える人物を迫害していたのは自分が知る限りノヴァクだけだと伝えられました。アントニ司教の推測では、自分の父親は宇宙論に特別厳しく、運悪く管轄内で地動説を唱えた者が異端者の烙印を押されたため「地動説は危険だ」と思われるようになったのではないかとのことです。
拷問などの汚れ仕事は修道会出身の異端審問官ではなく、傭兵上がりのノヴァクに委託されています。地動説を迫害してきた騒動は一部の人間の勘違いによって起きたのではないかとアントニ司教が語ると、事実を受け入れられないノヴァクは短剣でアントニ司教を殺害しました。
教会に火をつけて、近くにいたドゥラカの脇腹を刺したノヴァクでしたが、ドゥラカに反撃されて胸元を刺されます。死にかけのノヴァクにはラファウの幻が見え、地動説は異端思想ではなく「私はこの物語の悪役だったんだ」と話しかけます。最終的には娘のヨレンタが天国に行けることを神に祈りながら死亡し、ノヴァクの死体は燃えて崩れる教会の下敷きになりました。
ノヴァクの印象的なセリフ・名シーンは?
異端だと認定した人物には、残酷な拷問をしてきた異端審問官のノヴァク。この項目では、ノヴァクの印象深い名ゼリフをまとめました。
「あちゃー。君、ここの子だったの……」
■アニメ第2話/コミックス1巻第3話
泣いていた男の子に対して、「道端で子供が泣いてちゃ無視できないよ」「家族を大切にな」と優しい言葉をかけたノヴァク。その後、異端者の家に行って男性を拷問して血だらけにすると、先ほどの男の子が家に帰ってきて、異端者の息子だと判明しました。
拷問した様子を見られてしまったノヴァクは気まずそうに、「あちゃー。君、ここの子だったの……」と発言。ノヴァクの優しい一面と残虐的な一面が描かれたシーンでした。
「し、死ぬのか?」
■アニメ第3話/コミックス1巻第4話
地動説を研究していた罪で捕まったラファウ。地動説の資料の場所を明かさなかったラファウは翌日に拷問を受けることになります。拷問によって地動説の資料がある場所を話してしまうと資料は燃やされてしまうため、ラファウは毒物を飲んで自殺することにしました。
ノヴァクがラファウの独房を訪れて会話をしていると、ラファウは飲んでいたワインに毒物を混ぜたことを自白します。ノヴァクは自分が飲んでいたワインにも毒物が混ぜられていると勘違いして吐き出そうとしましたが、ラファウは自分のワインにだけ毒物を入れたことを告げました。
ラファウが自殺しようとしていることを知ったノヴァクは、「お、お前…、頭、おかしいぞ」「し、死ぬのか?」と驚いていました。普段は冷酷なノヴァクが取り乱した珍しいワンシーンです。
「血、だ」
■アニメ第11話/コミックス4巻第24話
新人の異端審問官の実習を担当することになったノヴァク。女性の異端者に拷問をした後、新人から拷問をするのは本当に正しいのかと問われます。ノヴァクは対話などで更生させるのはダメだと言い、異端者は悪魔と結託してこの世界を変えようとするため、それを阻止するために最も重要なものは「血、だ」と答えました。
「どうか、どうか子供は天国へ」
■アニメ第23話/コミックス8巻第57話
ドゥラカに刺されて死にかけているノヴァクは、朦朧とする中でラファウの幻が見えました。地動説は異端だと信じて数多くの異端者を拷問したり殺してきたノヴァクでしたが、地動説は異端ではないと言われたことをラファウの幻に伝えます。ラファウの幻にヨレンタは天国に行けたのかと問いかけますが、「死後のことは誰も知らない」と返答されました。
ノヴァクは爆死した異端解放戦線の組織長の右手を取り出して、2章までヨレンタがつけていた手袋に入れます。異端解放戦線の組織長がヨレンタだと気づいたかは不明ですが、手袋に入った手をみたノヴァクは「お前も見つけたんだな……」「その為に…地獄に堕ちたっていいと思えるものを…」と呟きました。
「娘の過ちはすべて私の勘違いが原因なのです」と涙を流しながら神に祈ったノヴァクは、地動説が神に反するものではないのなら「どうか、どうか子供(むすめ)は天国へ」と告げながら倒れて、死亡しました。
ノヴァクは実在の人物がモデル?
『チ。』は15世紀のヨーロッパ某国を舞台にしたフィクションで、実話ではありません。しかしながら、原作者の魚豊氏はインタビューで、ノヴァクはナチスのアドルフ・アイヒマンを人物造形のヒントにしたと答えています。
アイヒマンは、アウシュヴィッツ強制収容所に無数のユダヤ人を送った人物で、ユダヤ人虐殺の中心的役割を担った人物だと言われています。第二次世界大戦でドイツが敗北すると海外へ逃亡しましたが、その後捕まって絞首刑にされています。
2015年には、アイヒマン逮捕の功労者でドイツ人の検事長フリッツ・バウアーが、いかにして逃亡しているアイヒマンを発見して追い詰めたのかを描いた映画『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』が上映されました。
アニメ『チ。』ノヴァクのまとめ
『チ。』に登場する男性・ノヴァクは、異端思想を持った人物を処罰する異端審問官です。異端者ではない者には優しい一面もありますが、異端者が相手の場合は躊躇なく爪を剥がしたり、口の中を裂いたりする拷問を行います。
アニメ『チ。』でノヴァクを演じる声優は津田健次郎さん。津田さんの代表作には、『遊戯王デュエルモンスターズ』海馬瀬人役、『呪術廻戦』七海建人役などがあります。
(C)魚豊/小学館/チ。 ー地球の運動についてー製作委員会
この記事の画像一覧





