出世・退職後の会社への返還は?
一方で、制度を利用する従業員から「出世したときに会社に返さなければならないのか?」という疑問の声があがったケースも見られた。
スーパーマーケット・チェーン「株式会社ベルク」では、奨学金の代理返還分を会社からの「貸与」と受け止めている従業員がいたという。会社側は、代理返還分を従業員が返す義務を負うことはなく、従業員が退職した場合でも、代理返還分の額の支払いは要求されないことを説明したという。
石渡氏は、制度が“企業の福利厚生”にあたることを強調する。
「もらうものをもらってから、奨学金返還支援制度の上限額に到達してから退職する社員も当然いる。この奨学金返還制度は、福利厚生の一環で、社員が途中で退職したとしても、福利厚生の分について『辞めるなら返せ』とは言えない」
制度を導入する企業はこれからも増えていくと、石渡氏は見込んでいる。
「学生有利の売り手市場は、今後も長く続きそうで、企業は採用でかなり苦労するだろう。その際に、アピールできるポイントの一つとして、奨学金返還の支援制度は大きなものになる。今後も導入企業が相次いでいく、また一度この制度を導入した企業でも、上限額を増やしていくような状況が、今後も続きそうだ」
「ずるい…」返還後の人からは不満の声も
