■トー横問題、根本的な打開策は

 各種メディアによるブランド化も進んでしまったトー横の現状を打破するにはどうすればよいのか。1つの考え方としては、場所そのものをバリケードなどを使いながら物理的に“封鎖”“解体”してしまうという考え方もある。ただし現場を知る者からすれば、あまり効果的ではないという意見が強い。芹野氏は「よく解体の話はされるが、バリケードを作っても、すぐ横にみんな溜まっている。解体した後も、その子たちが別のところ、なんならもっと危ないところに行くこともあるので、根本的な解決にならないのでは」と主張する。

 それでも尾久氏は「トー横自体を、ずっと居るような場所にしてはいけない」と訴える。「一時的な気分転換や息抜きの場は子どもにも必要だと思うし、同じような悩み抱えてる人間と意見交換するのもいい。ただし悪意のある大人が近づきやすいし、その管理もできない。(トー横から抜け出す)出口戦略も考えていかなければいけないので、ただ閉鎖すればいいという単純な話でもない」と語った。

 また東京科学大リベラルアーツ研究教育院教授・柳瀬博一氏は、街のオーナーの努力によって形やイメージが変わった実例をあげつつ、歌舞伎町にも同じものを求めた。「トー横の問題は街のオーナーの問題で、行政もNPOも主人公ではない。具体的に言うと、商業組合や自治体。いくら行政やNPOが動いても、街のオーナーが動かない限り解決しない。渋谷のチーマー問題やハロウィン問題は渋谷区長が動いたが、商店主の人たちもきっちり動いた。池袋西口が浄化されたのも、街の組合の人たちが動いたからだ。同じ新宿でもゴールデン街はちゃんとしているし、隣の新大久保も非常に危ない時期はあったけれど、今では機能して20代女性が一番好きなダウンタウンになった。歌舞伎町では、オーナーの顔が見えない。それがすごく不思議だ」。
(『ABEMA Prime』より)
 

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(4枚)