誰が最有力か?
「強みは知名度と“保守のカラー”だ。自民党を支持してきた岩盤保守層が自民党から離れてしまったという指摘がある中で、力強い国家観を持つ高市氏に党内から期待の声があるのは事実だ。一方、弱みは国会議員の仲間の少なさだ。党内にも強烈な高市氏の支持者がいる一方で、仲間が多いかといえばそうとは言えない。前回の総裁選で自身を支持した旧安倍派の議員が去年の衆院選で多く落選してしまった中で、今回どれだけ議員票を積み増せるのかが課題だ。また、これまで政調会長や総務大臣など様々なポストを経験してきたが『なんでも自分でやりたがる』という。周りを巻き込むのがすごく苦手で、自分で仕事を抱え込んでしまうという声もあり、総理になった時に内外の課題がたくさんある中で、果たして総理の職が務まるのかと心配する声は周りからよく聞かれる」
━━小泉氏はどうか?
「知名度と発信力は誰にも負けないと思う。党内には“いつかの総理候補”という期待感があり、小泉氏を慕う若手・中堅議員は多い。議員票と党員票、どちらもある程度期待できる。急遽農水大臣に就任した際にも、次々と政策を打ち出した姿には党内から評価の声が上がっていた。弱みは『本当に総理を任せて大丈夫なのか』と思わせてしまうような発言が時々出てしまうこと。環境大臣時代にも“セクシー発言”などもあったが、去年の総裁選期間中の9人での討論でも他の議員に比べると発言の内容が甘かったり説得力が足りないと指摘される場面があった印象だ。またこれまでの経歴を見ても財務や外務、経産といった大臣の主要ポストを務めたことがなく党三役の経験もないため、実務能力が未知数という部分もある。『若さ』については小林鷹之元経済安保大臣にも共通していると思うが、中堅・若手に『古い自民党を1回立て直して生まれ変わらせたい』という思いがある中で、そのために党の顔を変えることは一つの手段として分かりやすくはある。そういった観点から言うと、小泉氏や小林氏は中堅・若手から支持を得やすい」
━━官房長官を務めている林氏は?
「8日午前の記者会見では『総裁選についてのコメントは差し控える』とかわしたが、7日、旧岸田派の幹部に出馬の意向を伝えたという。強みは『実務能力の高さ』で、ある官邸幹部は『これまで一緒に仕事をしてきた中で一番頭が切れる政治家は間違いなく林さんだ』と話していた。また、石破政権でナンバー2の官房長官を務めてきたので、石破総理の立場からすると自分が進めてきた政策を引き継いで実行してくれる期待感が一番持てると思う。議員票に関しては、旧岸田派がある程度固まって林氏を支援するという見通し。しかも林陣営はすでに何度か会合を内々に開いて、作戦会議を行ったりもしているので、出馬表明こそまだだが着々と準備はしているようだ」
━━前回石破総理に入った票は林氏に流れるのか?
「石破総理に入れた党員は“リベラル的”なところを期待しているのであれば、おそらく高市氏に乗っかることはなく、小泉氏や林氏に乗る気がする。だから、党内では『小泉さんと林さんが出ると“票が割れる”から、どちらかを勝たせたいのであればどちらかに絞るべきではないか』という声もある。だから考えられるのは、1回目の投票で誰も過半数を取れなかった時に、決選投票で小泉氏か林氏が残った時に『もう片方の陣営はそっちに票を乗せよう』といったところまで含めておそらく各陣営間で交渉が行われていると想像している」
━━小林氏はどうか?
「若さと、前回の総裁選で初めて出馬をしたことで知名度がある程度上がったことが武器だが、弱みとして、国会議員としての経験の浅さがあり、小泉氏以上にウィークポイントとしてあるだろう。党役員の経験や主要ポストの大臣経験などがないので、総理大臣という立場になると、国会議員プラス大臣を束ねて国の舵取りをやる立場なので、その仕事が勤まるのかというと、若干心許ないという指摘は党内からもある」
━━誰が最有力か?
「前回の総裁選で、高市氏は推薦人集めから苦戦し“泡沫候補”だと周囲から言われ続けたが蓋を開けたら決選投票に残った。だから本当に今の段階ではわからない。もちろん高市氏と小泉氏が主軸だと思う今後は討論会などの機会も増えるので、その論戦を見て判断する党員もいるだろう。そして、国会運営を進めていくためには野党との協力が大きな課題になる。“ポスト石破”は野党との協力を含めた今後の政権運営構想を語ることが求められると想像する」
(ABEMA/ニュース企画)

