数千万円をかけた“実験”

ボーカルのACAね
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 ライブ前、ACAねはぽつりぽつりと心境を語った。

ACAね「一人カラオケが好きで、何時間でもいられます。“こそ練”でカラオケを利用していて、そこでこそこそライブの練習をしたりしています。毎回(カラオケの)履歴を見ちゃいます。長年歌い続けているのは中森明菜さん。『スローモーション』です」

ACAね「(万博側にアーティストから直接)場所を貸してほしいとお願いした方はいないって聞いて。すごい愚かですよね。すごくワクワクしているんですけど」 

 自主制作で赤字が確実な中で行うライブは、現代社会に対する疑問を払拭するための“実験”でもあった。

ACAね「非効率に何か疑問を持ったり抗ったりする思いが、誰かの背中に触れられるのか、エネルギーになるのかという実験」 

ACAね「『孤独の肯定』をテーマにしていて・・・孤独は孤立していたり、悲しいものではなくて。最近は『堂々たる孤独をこれからも大切にしよう』と思います」

 孤独は悪ではないことの証明…ACAねは1970年の大阪万博のシンボル、太陽の塔をデザインした岡本太郎の言葉から、この仮説のインスピレーションを受けていた。

ACAね「大阪万博が1970年にあったことを知って。当時は宇宙開発、進歩への希望に満ち溢れていた時代だったと調べてわかった。岡本太郎さんからは、作り物もそうですけど、言葉にもすごく刺激を受けていて。『孤独は絶対に社会的である』と。孤独は孤立していたり、悲しいものではなくて、社会と繋がっているからこそ、向き合っているからこそ、他者とぶつかったりするけど、それは自然なことで、孤独を肯定する考えや哲学を持たれていて。その本を読んだ時に勝手ながら考えがすごく近いって嬉しくなって」 

むしろかっこいい“堂々たる孤独”
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