アニメ「キングダム」龐煖（ほうけん）とは？実写映画のキャストも解説

　アニメ「キングダム」は、中国春秋戦国時代末期、下僕だった少年が中華統一を志す若い国王に出会い、大将軍を目指す物語です。2024年1月から3月にかけて、第5シリーズが放送されました。2025年10月より、その続きである第6シリーズが開始予定です。趙を相手にした鄴攻略編が描かれることが予想されます。

　アニメ「キングダム」は、原泰久氏により2006年から「週刊ヤングジャンプ」（集英社）にて連載中の漫画「キングダム」を原作とする作品です。2025年9月時点で、単行本は76巻まで刊行され、累計発行部数は1億1000万部を突破。劇場版実写映画は2019年に公開された映画「キングダム」を皮切りに、2024年公開の「キングダム大将軍の帰還」までの4作で、アニメ第1シリーズの終わりまでの内容が映画化されました。

　この記事では、アニメ「キングダム」に登場する、龐煖（ほうけん）をピックアップ。圧倒的な強さで秦国を脅かした武将・龐煖についてアニメ・実写映画のキャストや戦歴なども解説していきます。

アニメ「キングダム」とは
アニメ「キングダム」龐煖の基本情報！実写映画のキャストやプロフィールを紹介
アニメ「キングダム」龐煖の強さは？
龐煖が強さを求めたのはなぜ？
アニメ「キングダム」龐煖の戦歴

龐煖は史実にも登場する？
まとめ

アニメ「キングダム」とは

　秦・魏・韓・楚・燕・趙・斉が戦国七雄と呼ばれ、中国の覇を競っていた春秋戦国時代末期。下僕の少年・信（しん）は、秦の片田舎で幼馴染の漂（ひょう）とともに、大将軍になることを夢見て鍛錬を続けていました。しかし、漂は内乱で命を狙われた秦王・嬴政（えいせい）の影武者として命を落とします。この嬴政こそ、後に史上初の中華統一を成し遂げ、始皇帝となった人物でした。

　信は漂の遺志を継いで嬴政の王都奪回に協力。嬴政との絆を深め、この先も秦軍で嬴政を支えることを約束します。その後、信は各国の強敵との壮絶な戦いを経て、一兵卒から将軍を目指し成り上がっていくのでした。

アニメ「キングダム」龐煖の基本情報！実写映画のキャストやプロフィールを紹介

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　アニメ「キングダム」に登場する龐煖は、趙三大天のひとりです。趙には過去に秦の六大将軍と競い合った三大天と呼ばれる大将軍がいましたが、そのときから世代が代わり、龐煖らは“新三大天”とも呼ばれます。

　龐煖がアニメに初めて登場するのは、第1シーズン26話です。馬陽の戦いを控えて軍議を重ねる秦の王都・咸陽に、趙の総大将として龐煖の名が伝えられました。そのときは本人が登場したわけではなく、報告を受けた昌文君（しょうぶんくん）が、龐煖を知らない周囲の面々にその恐ろしさを伝えるという形での登場でした。その後、秦軍の前に現れた龐煖は、圧倒的な強さで武将や兵を倒し、秦軍に大きな被害を及ぼします。

龐煖の基本情報【プロフィール】

　龐煖は強さを求める“求道者（ぐどうしゃ）”です。ひらすら修練を重ね、武力を高めて強者との戦いを求めました。

　身長などの正確な数字は明らかにされていませんが、秦の六大将軍・王騎とも互角の大きな体で、武器は巨大な矛。戦闘において個人で一部隊を壊滅させるほどの強さを誇ります。

龐煖の基本情報【アニメ版声優】

　アニメで龐煖の声を演じるのは、高塚正也（たかつかまさや）さんです。キングダムでは龐煖以外にも、ランカイや左慈（さじ）、尾到（びとう）、松左（しょうさ）をはじめ多数のキャラクターの声を担当し、ナレーターも務めています。兵庫県出身で関西弁も堪能な声優です。

　龐煖以外の代表作としては、「ワールドトリガー」来馬辰也役、「戦国無双」直江兼続役などがあります。

龐煖の基本情報【実写映画版キャスト】

　実写映画で龐煖を演じたのは、歌手・俳優として活躍する吉川晃司（きっかわこうじ）さんです。俳優としての代表作には、「すかんぴんウォーク」民川裕司役や、「るろうに剣心」鵜堂刃衛役などがあります。デビュー曲の「モニカ」は、初主演となった「すかんぴんウォーク」の主題歌でした。

　実写映画3作目となる「キングダム運命の炎」からの出演ですが、公開するまでキャストが未公開だったこともあり、李牧（りぼく）役の小栗旬（おぐりしゅん）さんとともに話題になりました。

アニメ「キングダム」龐煖の強さは？

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　龐煖が初めてその強さを見せたのは、アニメ第1シーズン30話です。飛信隊の野営地に突然現れた龐煖は自らを“武神”と名乗り、矛の一振りで何人もの兵を切り飛ばすなど圧倒的な力で周囲を驚かせました。求道者としてひたすら強さを求める龐煖は、羌瘣（きょうかい）の持つ強者の気配に惹かれてその場に現れたことを明かしています。

　龐煖は趙軍の総司令として登場しますが、兵に指示して戦を行うわけではありません。龐煖は圧倒的な個人の力で強者と戦い、強さの頂きを目指すことにしか関心がなく、軍略を巡らせるのは同じ三大天の李牧です。天才軍師・李牧の計略で戦場に現れる龐煖は、麃公（ひょうこう）や王騎（おうき）など強力な秦の将軍を倒し、秦軍に甚大な被害をもたらしました。

龐煖が強さを求めたのはなぜ？

　龐煖が強さを求めたのは、彼が“求道者”であることに関係しています。求道者とは、単に強さを求めるのではなく、人を超える力を持つことで、世界の争いを止めようとする思想の持ち主たちです。人々が苦しむのは争いがあるからであり、自分たちが強くなることで争いがなくなれば、人々は苦しみから解放されると考えていました。

アニメ「キングダム」龐煖の戦歴

　龐煖は物語にたびたび登場し、その圧倒的な戦闘力で信たちの前に立ちふさがるインパクトの強い存在です。趙との戦いの要所で登場し、秦軍の強者たちと激しい戦いを繰り広げました。ここでは、龐煖の戦歴を紹介します。

王騎との戦い

　龐煖と王騎の因縁は、第1シリーズ36話、ふたりの最終決戦となった馬陽の戦いの9年前に端を発します。当時、六大将軍のひとりだった王騎には、同じく六大将軍の摎（きょう）という婚約者がいました。龐煖は摎が放っていた強者の気に引き寄せられ急襲し、摎は命を落とします。王騎は怒りのままに龐煖を切りつけて崖から落とし、龐煖はそのまま死んだものと思われていました。龐煖の顔の傷は、そのときのものです。

　第1シリーズ35話、馬陽の戦いで龐煖と王騎は9年ぶりの再戦となります。王騎は摎の敵を取るため、龐煖は以前まったく敵わなかった王騎を超えるための一騎打ちが始まりました。ふたりは激しい戦いを繰り広げ、王騎が優勢で終盤を迎えます。そこで趙兵が背後から弓矢で王騎を狙い、その矢が当たったことで王騎は崩れ、最終的には龐煖が勝利。致命傷を負った王騎を秦軍は脱出させますが、勝ったものの釈然としない龐煖は秦軍を追うことなくその場を去ったのでした。

麃公との戦い

　麃公は、李牧に「本能型の極み」と言わしめた秦軍の将軍で、第3シーズンに描かれた函谷関で飛信隊がともに戦った麃公軍の武将です。函谷関の戦いの終盤、李牧の奇策を見破った麃公は、飛信隊とともに李牧軍を襲撃します。麃公軍は李牧を追い詰めますが、第3シーズン17話、麃公の前に龐煖が現れ、ふたりは一騎打ちとなりました。

　麃公は秦の六大将軍にも匹敵すると言われるほど強い武将でしたが、龐煖はその麃公を馬ごと弾き飛ばすほどの力で圧倒します。しかし、麃公は王騎との戦いをいまも引きずっていました。戦闘中の問答で麃公は、龐煖が王騎の強さの理由の答えを戦場に求めていることを知り、龐煖を「ど阿呆」と一喝します。本能型の武将である麃公は、人の戦いの中で人を超える力を求める矛盾と葛藤に気づいていたのでした。死闘の末、力で勝った龐煖は片腕を折られつつも麃公を倒します。

羌瘣との戦い

　龐煖と羌瘣の戦いは、龐煖が初めてその姿を現した馬陽の戦い、第1シーズン30話でのことです。龐煖は羌瘣の強者の気に惹かれて飛信隊の野営地に現れます。そのときの戦いでは、龐煖は羌瘣に対して9年前の摎と王騎との戦い以来の手応えだと言っていますが、羌瘣は手も足も出ないほどの力の差を感じていました。信が戦いに加わってからも厳しい状況は続きましたが、趙の万極軍と秦の干央軍の介入で戦いは中断となります。

龐煖は史実にも登場する？

　龐煖は、中国戦国時代の武将として、史実にも登場しています。ただし、原作やアニメの「キングダム」の龐煖のような、武を求めるだけの人物ではありません。学問を修めた文人でもあり、道家の書「鶡冠子（かつかんし）」にも龐煖についての記載がありました。

　史実において龐煖は武霊王（ぶれいおう）に仕えた後、間をおいて悼襄王（とうじょうおう）の代に将軍として歴史に姿を現します。第2シーズン37話では、趙と燕の戦いで龐煖が劇辛（げきしん）を倒したところが描かれ、史実でも旧知だった劇辛を龐煖が倒したとされています。将軍として合従軍で活躍したことも史実にありますが、死亡の時期や、どのように生涯を終えたのかは記録がありません。