「セクシービデオに出演させられそうになった」
中武「子役の時にけっこう『人の話を自分の話に持ってくる』というだいぶイヤなヤツだったんです。だから、だんだん年を重ねるとともに『申し訳ないな』とか『横入りしている人みたい』という気持ちが芽生えて、そこから苦しくなっちゃって…でも求められるのはそのキャラクター。その葛藤でしんどくて」
そんな日々を過ごす中、徐々に仕事が減っていき、テレビの世界に居場所がないと気づいたのは28歳の時だった。
中武「セクシービデオに出演させられそうになったんです。『(子役の)かなちゃんが脱ぎました』となったら絶対見るじゃないですか。普通の仕事だと思って現場に行ったら男優さんがいて…脱がないと無理なところまできた、もう芸能界でこの位置って『あ、自分終わったわ…』という感覚でしかなく、『次を頑張ろう』とも思わなかった。自分に仕事がないという現実からとにかく逃げたくて仕方ない。そして、結婚に逃げました」
芸能界に見切りをつけ、10歳年下の一般男性との結婚を機に引退。両親へ報告に向かったものの『もうあなたは死んだものとします』と絶縁を突きつけられる。
そんな中、長男が生まれ自身も母となった。しかし、1億円を超える子役時代の収入は親に管理されており、親戚の進学費用などに使われてしまう。
生活苦で夫との関係も悪化の一途をたどり、夫婦の関係を解消。その選択の先に待ち受けていたのは、孤独な貧困だった。
中武「ガスも電気も水道も止まる時は人が『止めさせてもらいます』と来る。(料金を)払っていない申し訳なさと止めるときにもお金がないという精神的負担がすごすぎて…」
生活保護は申請しなかったのだろうか?
中武「(滞納の)ハガキも黄色から赤色になった。最初は小さいハガキだったのにだんだん特殊な封筒になって。精神的圧迫がやばいです。生活保護を受けようと思って役所に行きましたが、役所からの電話に親は『支援します』と答えたのでもらえませんでした。そして親からの支援はなし。プライドの話になりますが、滞納していることとかお金がないことを人に言えなくて、周りにも『大丈夫』としか言えなかった。あと、滞納すればするほど、滞納していることを自分でも『なかったこと』にしたくなるというか…」
そこで中武さんはある選択をする。
中武「一番お金がかかるのが家賃だったので『家賃さえなくなればどうにかなるかも』と思って、家を捨てる選択をしました」
「セミと草とアリは食べてました」
