■閉幕間近で大混雑 持っていても入れない「死に券」130万枚

死に券
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 万博チケットの購入法は、8月17日までは「来場日時未定」チケットを発売(「1日券」大人7500円)し、購入後に来場日時を指定できる仕組みで、「通期パス」(3万円)、「夏パス」(1万2000円)も用意されていた。これが8月18日から、購入時「日時指定が必須」になった。博覧会協会の高科副事務総長は、7月の時点で「早期の予約を強くおすすめ。購入したけど希望日に行けないという事態が起きないように」と呼びかけていた。

 万博協会によると、すでに閉幕(10月13日)までの来場予約枠が完売(累計一般来場者数2052万6483人、9月20日時点)。買ったものの、来場予約をしていない“未使用券”が約130万枚超にのぼる。なお愛知万博では未使用券が99万枚(5.7%)だった。日本国際博覧会協会・石毛事務総長は9月8日、「希望の日時に来場予約ができなくても払い戻しはしない」(朝日新聞社)とコメントしている。

 大阪府議会議員の山田けんた氏は、未使用チケットについて「返金すべき」と主張している。「チケットの説明文には『会期中に購入でき、いつでも1回入場可能』と書いてある。それでも残り3週間がすべて満席なのは、消費者庁マターではないか。予約の上限があり、『行けない日時がある』とは書いてあるが、『行けない期間がある』とは書いていない。払い戻しも『協会が認めればできる』という規約のため、柔軟に検討して欲しい」。

 フリージャーナリストの林信行氏は、「2023年時点で、前売り券の売れ行きが悪いからと、企業に約700万枚購入させていた。JR西日本は、社員に3枚ずつ、契約社員は1枚ずつ配った。そういう人たちが、チケット返金で得するとなると、何か違うのではないか」と指摘する。

 「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏も、「企業がタダ同然でもらった券を、国が税金で買い取るのはマズい。買い取りは無理なので、行けるように最大限の努力はするが、映画の前売り券のように『期限が過ぎた』はいくらでもあると思って、みんな買っているだろう。文句を言うのなら、8月に行っておけば良かった」と同調する。

 林氏によると、「ミャクミャクは『気持ち悪い』と言われていたが、手のひら返しですごい売り上げだ。友人が万博に出展しているが、今年の売り上げがミャクミャクグッズだけで達成したという。それだけ高い収益性がある」そうだ。

 一方で「予約システムなどのシミュレーションがダメだった。そのぶん各パビリオンが工夫して、並ばずに中に入れるようにしたが、すべての工夫を把握するのは無理で、混乱が生じている」とも語る。

 行列ができるパビリオンには、一定の傾向があるようだ。「人気のイタリア館では、日本との関係性を伝える映像が、5分ほど流れる。その空間に入れるのが40〜50人ずつでストップしてしまう。フランス館やスペイン館は、すべてのコンテンツが数分ずつで回り続け、常に人が流れる」。

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