■TOEIC満点レベルのAI翻訳があれば英語の勉強はいらない?

政治家の英語力が問題に
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 英語を使うのが苦手な日本人が期待をしているのが、AI翻訳だ。NICT(情報通信研究機構)フェローの隅田英一郎氏はAI翻訳の性能の高さを説明した。「2020年ではTOEICで(990点満点中)900点レベル。今ではもう満点のレベルになっていると思っていい」。人間が語学を習得するまでには2200時間が必要という調べがあり、隅田氏は「日本の高校までで1000時間ぐらい勉強するが、半分以下で全然足りない。これが英語コンプレックスにつながっている。できないのが当たり前、できない状態で社会に放り出されるのに、なぜかできない自分が悪いようになっている。英語は大切かもしれないが、十分にできない人を大量生産するのはよくない」と主張した。

 夏野氏は、グローバルに活躍することを目指すか否かで分かれていくという意見を持つ。「アメリカはグローバル国家で、グローバルに活躍する企業・人材は一番多いが、本当にグローバルで活躍している人は人口の3%くらいなもので、あとはみんな国内で経済を回している。日本であれば5~6%ぐらいはグローバル人材が欲しいところだが、90%以上の人は英語がいらない。むしろ(AIなどの)テクノロジーを使って読めればいい。うちの会社でも国際会議で英語ができない人は、アプリを使って全部日本語にしてから読んでいる」。

 一方、ひろゆき氏は数学などと同じく英語は学校で触れておくべきものだと訴えた。「教育の中でやってこそ、得意な子と不得意な子というのが初めて分かる。言語習得だって、向いていないと思っていたけど、やってみたら全然できるということもある。そういう人はちゃんと英語を伸ばしていこう、海外で働こうとなることもあるし、そのためには教育で一定レベルまで、全員がやる必要がある。将来、数学を使わない人にも数学をやらせる必要があるのと同じだ」。

 隅田氏は、AI翻訳のサポートを受けて、よりよいコミュニケーションを取るべきだと語る。「コミュニケーションの効率を上げるには、単語をよく知っていて、文章もちゃんと翻訳できるシステムがサポートしてくれた方がいいに決まっている。日本人は長く日本語に慣れてしまっているので、どうしても英語が聞き取れない。人間が英語を学ぶことを否定はしないし、日本人が外国に行ってそこの国の言葉を少ししゃべるだけで親近感が増すというのは絶対にあることだが、しかし深い議論はできない。ならば機械を使えばいい」と、有用性を訴えていた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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