■法整備の問題も「良いメガソーラー」とは?
大場氏は「環境破壊的な大規模メガソーラーは10〜20件程度だ。小さなものまで入れると、数十万件あるうちの数十件が環境問題を起こしていることを理由に、メガソーラーの是非を議論するのは難しい。鴨川の例を見せられれば、『反対』と言うしかないが、佐藤市議も『すべてのメガソーラーが悪いものだと感じてほしくない』と思っているのではないか」と推察する。
これに佐藤市議は、「まさにその通りで、鴨川の悪しき例が注目されることで、本来は推進しなければならない再生可能エネルギーに悪印象が付くことに懸念を感じている」と返す。では反対に“良いメガソーラー”とは何か問われると、「耕作放棄地の天井にソーラーパネルを貼り、その下でニンニクなどを育てる“ソーラーシェアリング”の事例もある。起伏の激しい場所でやるのは避けて、公共施設の屋根などにパネルを貼るなどが必要だ」と答えた。
大場氏は「自然破壊する事業を許可できる体制にしてしまったのは、規制当局の不備だ」と考えている。「今は30〜40MW以上になると、環境アセスメントが必須だ。そもそも買取価格が劇的に下がり、事業性がさほど良くない。新規の案件はピーク時の0.8%しかない。規制で環境破壊は防げるが、すでに遅きに失している」。
文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は「民主党政権時代の2012年に始まった、固定価格での買取制度は、制度設計がひどすぎた。環境アセスメントが始まったのは、開始から8年ほどたってから。それまでは環境評価せずに、しかも高い値段で買い取ってきた。エネルギーと関係ない事業者も大量参入して、お金もうけするのを放置したのは、制度設計のまずさが大きい」と批判する。
石川氏は「経済産業省の事務方が示した買取価格は、kWh(キロワット時)あたり20円台後半だったが、ふたを開けると42円になり、これが何年も続いた」と振り返る。「乱開発を規制するアセスメントもなく、こんなバカなことをやっている国は日本だけだ。日本は、2000年から買取制度のある“再エネ大国”のドイツをコピーしたが、ドイツは『木を切ったら、その分植林しなさい』と言っているが、日本ではそれがなかった」。
佐々木氏は立地の問題にも触れる。「ソーラーパネルは建築物ではなく、コンクリートで埋めて土台を作り、そこに柱を置いてパネルを載せるだけだ。風が吹くとひっくり返るが、建築物ではないため、建築基準法にも引っかからず、市街化調整区域にも立てられる。むちゃくちゃな抜け穴だらけの法律だ」。
(『ABEMA Prime』より)

