■高温で溶かす「溶融炉」のメリット・デメリットは
多くの外国人が来日し、観光客だけでなく日本で暮らす人も増える中、日本独特なごみの分別によって、トラブルが生じるケースも少なくない。その中で、茨木市が30センチ以下のものを分別せずに、高熱の溶融炉で溶かしてしまうというのは、真逆の発想とも言える。寺井氏は、焼却炉で金属などを燃やした場合の影響について「焼却炉の詰まりが起きる。アルミ缶などは、焼却炉の温度である800~1000度ではなく600度ぐらいで溶け、炉の中にへばりついてしまうので、それを取り除かなければいけない」と説明する。
では炉内が1200~1500度になる溶融炉では、何ができるのか。「焼却炉では灰が出るが、最新式の溶融炉は高温なので、灰すらドロドロに溶かしてしまう。スラグ(溶解物)という状態になるので、最終的に埋め立てに行く量もかなり減る。(溶けた)金属は別に回収できるというメリットもある」。焼却炉との比較では「高温のガスが出るのでフィルターをかけるなど、維持管理のコスト、建設コストなど全体的なランニングコストは上がる」という。
溶融炉があるから全てを溶かしているわけでもなく、一部のリサイクルは併用されているともいう。「ペットボトルなど、資源物として回収できるものは回収されていると思う。ただし、それ以外のややこしいものや、不燃ごみとして入ってくるものを手で取り除くくらいであれば、溶融炉の中で処理してしまってから回収した方が効率がいいという考え方」。また日本は世界的に見ても、この点においては先行しているといい「日本がヨーロッパと違い(ごみを)燃やすことに対しての効率をすごく突き詰めてきた。そのノウハウができている」と添えていた。
(『ABEMA Prime』より)

