■34歳のイスラム教徒 話題のNY新市長・マムダニ氏
民主党所属のマムダニ氏は無所属のクオモ氏、共和党のスリワ氏と争い、得票率50.4%(103万6051票)を獲得して当選。34歳という若さ、さらに初のイスラム教徒ということもあり、世界中でも大きな話題になった。冷泉氏は、マムダニ新市長誕生の瞬間は「割と平静だった」とし、「すごく熱狂的でもなく、世論調査でも彼が勝つことはかなり見えていた」と、話題性に対して、そこまで大きな盛り上がりではなかったと伝えた。
マムダニ氏の選挙戦略はいかなるものだったか。注目されたのはSNS戦略だ。「彼の妻が映像作家で、上手にショート動画を作ってガンガン流していた。これが本当に若者に受けた。逆に言えば、高齢者の人たちはTikTokなどあまり見ていないので、自分たちが知らない間に、何が起きたんだろうという感じもあった」と解説した。人柄の良さも動画を通して広く伝わったといい、これにも「本人が演じていたところもあるだろうし、妻の映像の撮り方がすごく上手。あたかも(有権者が)自分に対して、すぐ隣りにいて、語りかけてくるような作り方だった」と評価した。
マムダニ氏はアフリカ・ウガンダ生まれ、インド系移民のイスラム教徒。多様性の象徴のような存在が、ニューヨーク市長に選ばれたことにも意味がある。「ニューヨークはパレスチナ問題などで分断もあったが、やはりトランプ氏がしていることへのアンチがものすごく渦巻いている。トランプ氏のやり方の正反対を選べば、自分たちのアイデンティティが取り戻せるというものが大きかったのではないか」。
ニューヨークでは物価が高騰し、庶民では住めないほどの家賃になっている。マムダニ氏が、ニューヨークを庶民に取り戻すとも主張してきた。この言葉はどう響いたのか。「ニューヨークは複雑な街で、コンピューターや金融関係など、高収入の労働者も多い。サービス業や外食産業などのエッセンシャルワーカーは、もうニューヨークに住めず、遠距離から通勤している。ただし、知的な労働をしている人たちも、将来に不安を抱えている。それはAIが自分たちの職を奪うのではということ。その不安が大きなうねりになった。アメリカのデジタル推進によって、その先にある未来で自分たちはどうなるのかと、若者の不安や怒りが爆発している」。
■庶民を救う政策、現実味は?
