■庶民を救う政策、現実味は?

マムダニ氏の選挙戦略
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 庶民を救うという公約をいくつも挙げているマムダニ氏。その実現度は、いかなるものか。まず庶民の生活に直結しているバスの無料化だが「アメリカには通勤手当がなく、自分で(交通費を)払う。これを毎日払う、払わないでは大違いだ」と語る。また生後6週間から5歳までの子ども全員を対象にした無償保育は「託児所に補助金などがなく、本当に実費プラス保険料など、ものすごい金額になっている。日本でいえば年収700~800万円ぐらいの人で、普通に通勤して子どもを託児所に預けたら生活が成り立たない。本当に切実な課題だ。ベビーシッターならさらに高く、1カ月で1000ドルや1500ドルということもあり、働いている分だけどんどんお金が出ていくようなものだ」と実態を紹介した。

 公約実現のために、財源は富裕層の増税を見込んでいるが、実際には可能なのか。「市税で所得税を増税することはなかなかできないので、固定資産税をものすごく上げていくような形になる。ただし本当にできてしまうと、逆に不動産相場が下がっていくことにもなる。ニューヨーク全体のその不動産の価値が下がっていくと、街全体の価値がものすごく失われるので大きな問題になる」と懸念を示す。

 その上で実現に向けてどう動くか。「託児所の無償化、バスの無料化などは、ある程度お金を用意してやるのではないか。バスの組合なども支持している。問題は家賃。富裕層に対するものすごい課税を、ニューヨーク独自でやるのはものすごく大変。公約の半分も実現できないとは思うが、実現できない場合は必ずトランプ氏や連邦政府から圧力があり、それを相手にチャンバラが始まるので、その間は『お前、できないじゃないか』と言われないので、支持は落ちない。その間にバスの無料化と託児所の無償化をすれば、2年ぐらいはもつのではないか」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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