■「一緒に住みたくない」距離を置いた後に関係が良化

吉沢さんの場合
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 シングルマザーの吉沢さんは、19歳の息子と2人暮らし。息子が10歳のころ、2人の関係に亀裂が入った。前年に離婚すると、息子の反抗期が始まり、毎日些細なことで言い争いになった。少し距離を置いた方がいいと、祖母の家あずけたが、息子が祖母のお金を取ったとわかり大きなショックを受けることに。同時に育児に対する諦めの感情が芽生え「一緒に住んでいたくない」と児童相談所への相談も考えるようになった。

 それ以降、吉沢さんは母親の役割を減らしていった。子どもとの距離を置き、自身の仕事を優先。家の中でもなるべく顔を合わせず干渉を減らし、実家に預けることも増えた。また息子は違う人間だと思い、分かり合う努力もやめた。それでも食事だけは一緒に食べるようにすると、イライラや怒る回数は減り、息子の成長とともに会話も増えたという。

 当時の心境を聞かれた吉沢さんは「学校が休みの土日は一緒にいないといけないという思いが、すごく私の中にあったが、積極的に距離を置こうとした。本当に一緒に住みたくないということもあった」。ただ、やめると心では思っていても、完全に切り離すことはなく「未来、将来のことに関しては、ちゃんと責任を持って育てるというのあった。自分の心のバランスを考えて、コミュニケーションの仕方を変えた」ことで折り合いをつけた。時間の経過とともに関係は上向き「気づいたら彼も思春期、反抗期から抜けていて話すこともできた」と語った。

■泉健太氏「親にも『失望期』『諦め期』はある」
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