【WRC 世界ラリー選手権】第13戦 ラリージャパン(11月8日/デイ3)
世界ラリー選手権の第13戦ラリージャパンは、日本人ドライバーの勝田貴元が初日から好調で日本人33年ぶりの優勝も期待されたが無念のクラッシュ。チームメイトであるトヨタのドライバーたちも勝田の状況を真っ先に気にする一幕があった。
今大会の勝田は、デイ2を終えた時点で総合2位。今季ラリーフィンランドに続く表彰台のみならず、自身初優勝も視野に入れて迎えたのが、デイ3のSS11「笠置山」だった。なんとここで勝田は広場に設置されたウォーターバリアにマシンの右サイドを激しくぶつけてしまう。
その後、山岳地帯の峠道でツイスティなコーナーが続くなか、パワステが故障して曲げることも難しいのか、険しい表情でマシンを走らせ続ける。ピット無線では「carry on!(続けろ)」と言われており、後方から来るチームメイトのためにコースを開けようと走り続けていたのだ。
その間、先にフィニッシュしたチームメイトのエルフィン・エバンスがインタビューに答え、「(勝田)タカは何か問題があったと聞いているので気になります。なんとか走り抜けられると良いんですけど」と語り、真っ先に同僚を心配する表情を見せた。
また、セバスチャン・オジエの車載カメラでは、コース脇に勝田のマシンが停車している姿も見られた。オジエが先行すると勝田は再び険しい表情とともにマシンをスタートさせている。そして勝田をパスして先にアタックを終えたオジエも「タカに何かがあったと聞きました」とやはり勝田に関して言及。
勝田は後続のチームメイトに配慮し、チームメイトたちも勝田を気遣う。チームメイトたちも願う勝田の初優勝は困難になってしまったが、前戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーでマニュファクチャラーズチャンピオンを決めたトヨタの、トップドライバーたちの結束や、友情の深さが感じられるシーンであった。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』/(C)WRC)
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