欧米で広がる「トラッド・ワイフ」現象
「私も今、睡眠時間は大体2時間から長い日で4時間です。だからお肌にも悪いと思っております」(高市総理)
高市総理の発言をきっかけに、ワークライフバランスに関する議論が過熱した日本。一方、女性の社会進出で先を行く欧米で巻き起こっているのがトラッド・ワイフ旋風だ。トラッド・ワイフとは、伝統的な妻(トラディショナルワイフ)の略。1950年代に浸透した家事にいそしみ、夫に尽くす専業主婦の価値観が2025年の今、見直されている。
インフルエンサーのエイミーさんは、トラッド・ワイフとして自らの日常をInstagramで発信。子育てや庭で優雅にティータイムを過ごす様子など、ゆとりのある生活ぶりを紹介している。SNSでは、昔ながらの主婦のイメージを追求するインフルエンサーが次々と現れ、家庭と仕事の両立に疲れた女性から共感の声が集まっている。今年、イギリスのケンブリッジ辞典に新語の1つとして追加されるほど注目されているトラッド・ワイフ。
ただ実際は、夫に忠実に従い、家事に時間を費やす生活そのものに魅力を感じている女性は、それほど多くはないのではないかと、跡見学園女子大学の石崎裕子准教授は指摘する。
「トラッド・ワイフは確かに従順で古き良き時代の主婦像を体現しているのかもしれないが、でもある意味、SNS上の中で、動画の中で、これこそが女らしいみたいなイメージを作り出しているのではないか。だから、一種のアイコンなのかなと思う。動画の中でインフルエンサーとしてのもう1人の私を持っているわけではないか。本当に従順なのであれば、インフルエンサーになること自体しないのではないか」(石崎裕子准教授)
ファッションやライフスタイルなど、惹かれるポイントは人それぞれ濃淡があると石崎准教授は分析する。
「古いものにキラキラしたものをまぶしただけ」
