■「今回の制裁リストは相当粗雑」

 慶應義塾大学総合政策学部の廣瀬陽子教授も、今回の入国禁止対象になった。国際政治、紛争・平和研究、旧ソ連地域研究が専門。また、ウクライナ大統領府による和平を考える国際グループの唯一の日本人メンバーであり、ロシアから「望ましくない団体」に指定されている「ロシア後の自由な民族フォーラム」にも参加している。

慶應義塾大学総合政策学部の廣瀬陽子教授
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 なぜリストに載ったのか。廣瀬氏は「“ロシア後の自由な民族フォーラム”や、チェチェン亡命政権との関係から、相当にらまれているだろう。ウクライナの和平を考える国際専門家グループのメンバーにも入っている。去年、大規模なサイバー攻撃を個人的に受けたが、その経路をたどると、ロシアからである可能性が極めて高かった」と語る。

 一方で、「私の活動を知らない人からは『メディアでの発言が原因で制裁されたのでは』と心配されるが、制裁リストにはメディアで発言している人があまり入っていない。ロシアはそこに目くじらを立てていない可能性が高い。ロシアの専門家ではない人も入っている」とも話す。

 こうした背景もあり、「今回の制裁リストは粗雑だ。名前の間違いも多く、ある人は2023年の所属のまま書かれていた。かなり古いリストの可能性もある上に、その基準もあいまいだ」という。

 なぜこのタイミングなのか。「ロシアの専門家に聞くと、高市政権の対ロシア姿勢に対するリアクションであるとの見方が強い。高市早苗総理は安倍晋三元総理の後継者を名乗っているため、安倍・プーチン路線の蜜月関係を期待する向きもあった。しかし、高市氏はウクライナ支援に熱心で、ロシアには厳しい姿勢を貫いている。なおかつ、ロシアは中国との連携を重要視しているため、日中関係の厳しさを見て制裁を出したのでは、と聞いている」。

■海外からは称賛「あなたも私たちの本当の仲間だね、ゴールドメダルだねと」
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