インド北東部に位置するダージリンは中国との国境に近く、ヒマラヤ山脈の向こう側にはチベット自治区がある。チベット仏教の最高位であるダライ・ラマ14世が、中国によって弾圧され1959年にインドへ亡命した際、多くの支援者たちが後を追った。インドに逃れた人々が暮らすダージリンの難民キャンプは、現在では観光地としての一面も持ち、くるまが乗ったタクシーの運転手によると「観光客を毎日連れて行っている」とのこと。「注意した方が良いことはありますか?」との質問にも、運転手は「心配ない」と答えた。
こうしてくるまは、チベット難民キャンプに到着。敷地内には、難民たちが暮らす住居のほかに、チベットの伝統織物を作る工房やお土産屋などがあり、坂の上には小さな寺院も建っていた。近くで会った男性に案内され、中に入ると、大前Dは「うわぁ、すげぇ」と思わずひと言。正面に祀られていたのは、色鮮やかな装飾が施された金色の弥勒菩薩像。左右の壁には、ブッダなどが描かれた仏教画が配されていた。
くるまは圧倒された様子で「すげーな」とポツリ。「ずっと見ていられる」と、美しい弥勒菩薩像をしみじみと眺めた。そんなくるまに、チベット難民の男性はこのように語りかけた。「この寺は立派じゃないけど、難民たちが1から作った大切な寺なんだ。心の居場所までは誰にも奪えないんだよ。私たちの誇りさ」。くるまは真剣な表情を浮かべ、その言葉の意味を噛み締めていた。
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