【写真・画像】 1枚目
【映像】ナチュラルメイクで取材に応じたASUKA
この記事の写真をみる(4枚)

 日本時間の11月30日、世界最大のプロレス団体WWEの5大大会のひとつ「サバイバー・シリーズ」が開催される。今年の開催地は、ダルビッシュ有が所属するMLBサンディエゴ・パドレスの本拠地であるアメリカ・カリフォルニア州サンディエゴのペトコ・パーク。「サバイバー・シリーズ」がスタジアムで開催されるのはこれが初めてであり、まさに“史上最大のサバイバー・シリーズ”と言えるだろう。

【映像】ナチュラルメイクで取材に応じたASUKA

 「サバイバー・シリーズ」の目玉といえば、男女それぞれ開催される5対5の団体戦ダブルリング・スチールケージマッチ「ウォーゲームス」。ここに今年は、イヨ・スカイ、ASUKA、カイリ・セインという3人の日本人女子スーパースターが出場する。

 プロレス界の“メジャーリーガー”であるWWEスーパースターでも男女それぞれ選ばれし10名ずつしか出場できない「ウォーゲームス」に日本人レスラーが3人も名を連ねるのはもちろん初めてのこと。この快挙を、日本人初のWWE女子世界王者であり、日本人女性初のWWEホール・オブ・フェーマー(殿堂者)であるブル中野は、次のように語る。

 「私の時代は、ひとつのイベントで女子の試合は1試合しか組まれなかったんですよ。毎回、メドゥーサ(アランドラ・ブレイズ)とシングルマッチでしたね。その時から試合内容は男子に負けてないという自負はあったんだけど、まだまだ女子の地位が低いなっていう悔しさはありましたね。だからこそハングリー精神があって、日本の女子プロレスとブル中野の名前をアメリカで広めてやるんだという思いでやってました。

 それが今では男子と肩を並べるくらいの注目度になっているというのは、彼女たちを含めたいまの選手たちの功績ですよね。WWEも女子選手が増えて競争率が上がっている中で日本人が3人もビッグマッチに出場するというのは、すごいことだし、素晴らしいです。

 今、WWEにいる日本の女子選手たちは、ファンが求めていること、会社が求めていること、そして自分の立場で何をするべきかがわかっているからこそ、あの地位にいるんだと思います。そしていい試合をするだけじゃなく、英語でのマイクアピールやバックステージ、そしてスタッフや他の選手たちとのコミュニケーションもすべてできている。そうじゃなきゃ生き残れない世界なんでしょう

 イヨ、ASUKA、カイリを日本時代から知るブル中野は、3人の個性と強みを次のように分析し、評価している。

 「私は以前、スターダムの解説をやっていたので、イヨとカイリは新人の頃から見ています。ASUKAは、私が引退興行(2012年1月8日、東京ドームシティホール)をやった時、華名時代に出てもらって、その時に初めてゆっくり話をさせてもらいました。

 イヨは若手の頃から運動神経抜群でなんでもできて、実力は飛び抜けてましたね。ただ、日本とアメリカではスタイルが違うので、それだけではトップになれないので、イヨは自分の強みをちゃんとWWEのスタイルに融合できたので、いまの成功があるんだと思います。

 カイリは若い頃は不器用だったんですけど、プロレスに対してものすごく貪欲。またカメレオンのように立場によって自分の色を変えることができて、なおかつちゃんと自分のポリシーを貫いているイメージです。あとはやっぱり、世界に通用するエルボードロップ(インセイン・エルボー)ですよね。表現力もアメリカに行ってから格段に上がったと思います。

 ASUKAに関して一番すごいのは、自分が何者なのか、何ができるのか、WWEやお客さんから何を求められて、その求められたことに対して自分がどうすればいいか、すべてわかっているところです。それが彼女の一番の強みであり、だからこそ長い間トップに居続けることができているんでしょう。

 この3人はすでに自分の個性と立場を確立しているので、後から入ってきたジュリアが、これから自分をどう表現していくかも楽しみですね」

 「サバイバー・シリーズ」で行われるウォーゲームスは、2つのリングを金網で囲んだ5対5の団体戦。通常の試合とは違う対応力も求められる。現役時代、アジャコングとの金網デスマッチで金網の最上段からギロチンドロップを敢行しファンの度肝を抜くなど、さまざまな試合形式で多くの名シーンを残しているブルに、特殊な試合形式での心構えを聞くとこんな答えが返ってきた。

 「まず、お客さんがどう思っているかを想像するんです。そしてお客さんの予想を上回わらなきゃいけないし、お客さんの一歩、二歩先を行かなきゃいけない。お客さんの期待通りのことをやったら引き分け、お客さんに勝ってこそプロだと思って私はやってましたね。

 きっと彼女たちもそれを考えてると思いますよ。イヨは2年前にトラッシュ缶を頭からかぶって金網のてっぺんから飛んで、去年は同じようにトラッシュ缶をかぶって今度はムーンサルトで飛んだんですよね。周りが見えない状態で飛ぶって相当怖いはずなのにあれをやるってすごいですよ。3人ともファンの想像を超えることをきっとやってくれるんじゃないかなって思います」

 いよいよ「サバイバー・シリーズ」目前。最後に彼女たちへの期待を語ってもらった。

 「イヨもASUKAもカイリも、プロレスラーとしていまが一番いい時期だと思うんですよ。そんなキャリアのピークに、世界が注目するビッグマッチに出場する。これはプロレスラーとして本当に幸せなことだし、絶対に見逃せない。これを観て、みんなで歴史の証人になってほしいですね」

取材・文/堀江ガンツ

この記事の画像一覧

WWE 配信情報はこちら

 

 

この記事の写真をみる(4枚)