カウンター巧者の18歳が奪った3度目のダウン…は、レフェリーの一瞬の“気づき”でまさかの無効判定に…。「右フックだろ」「どういうこと?」とファンが困惑するなか、レフェリーの“神裁定”に「よく見てた」「ナイスレフェリー」と称賛が相次いだ。
11月29日、後楽園ホールで開催された「Krush.182」。健介(Jay’s Box)と川森悠人(K-1 GYM BLOWS)の対戦は、派手なダウンの応酬。ともにダウンを奪い合う積極的な展開のなか、3ラウンドには両者の頭が交錯する“幻のダウン”が発生。だが、レフェリーの迅速な采配で無効となる一幕が話題を集めた。
前戦の黒星から再起戦となる健介は、ムエタイなど豊富な戦績を誇る。一方、他団体フェザー級王者の経歴を引っ提げてKrush初参戦の18歳・川森。ともにアグレッシブな両雄の対戦となった。
試合は1ラウンド、健介が強いプレッシャーをかけながら、強烈なローや左パンチでニアダウンを奪うなど主導権を握りかける。しかしラウンド後半、川森が下がらせながらのカウンターの右フックを突き刺し、先制のダウンを奪う。至近距離から大きく振り抜いた一撃で健介は尻からバウンドするように崩れ落ち、終始押し気味だった流れからの意外性ある一発逆転を受け、どよめきが広がる。
2ラウンドも、良い意味で“荒削りさ”が魅力の撃ち合いが続く。前に出て手数も多い健介に対して、川森は独特の当て勘で今度は左でダウンを奪取。攻め続けている健介がストンと落ち、スコア上のリードを広げられる奇妙な展開となる。それでもラウンド終盤、健介がサウスポーの左をカウンターでヒットさせダウンを奪い返し、互いに譲らぬ好勝負の様相を強めていく。
予想以上の熱戦、打撃戦に辛口で知られるKrushの宮田充プロデューサーも「健介くんの攻撃で川森くんの良さが出ている」「ずっとこんなことやってるんですよ…2人の戦う姿勢が素晴らしい。2人とも無名なのに一番いい試合」と興奮気味に語った。
両者ダメージを受けながらも一歩も譲らず、最大の焦点となったのが3ラウンドの攻防。足を止め、頭を合わせる距離での真っ向勝負。ファンも「神試合の予感」「死闘だね」と固唾をのむなか、川森が再び得意の距離で右を振り抜きダウン。
3度目とあって健介も這いつくばり、なんとか立ち上がるも“勝負あった”と思わせるシーン。だがここで、箱崎雄三レフェリーが突然ストップし、確認を要求。ファンもダウンを確信して「右フックだろ」「同じ喰らい方だった」「どういうこと?」とどよめくなか、ビデオ判定に持ち込まれ、最終的に「偶然のバッティング」としてノーダウン扱いとなった。
スローで確認すると、振り抜いたパンチではなく、両者が同時に拳を振るい、その戻り際に頭部同士が衝突する驚きのバッティングシーン。ABEMAの解説者・宮田と卜部弘嵩の両氏も、見えづらい角度だったためか「気にしないで流してしまう。それぐらいのタイミング」「ちょっとわからなかった」と気づかなかった場面でのダウン取り消しに、ファンから「よく見てたレフェリー」「これは偶然のバッティング」「箱崎レフェリーナイス!」の声や、互いに故意ではない同士討ちの珍プレーで頭で打ち勝つシーンに「川森頭硬いな」といった驚きの声も聞かれた。
“ダウン取り消し”のハプニングを経て、試合はその後も最後まで殴り合いのテンションを落とさないまま終了。公式結果はダウン数と序盤のポイントを積み上げた川森の判定勝ちとなった。ただ、内容としては健介が主導権を握る時間帯も長く、荒々しさと若さの入り混じった好ファイトに「ナイスファイト」「なかなか凄い試合だった」とファンも興奮気味だった。
この記事の画像一覧


